こんにちは!
今回は、ファンタン=ラトゥールについてです。
早速見ていきましょう!
目次
アンリ・ファンタン=ラトゥール(1836-1904年)
アンリ・ファンタン=ラトゥール《自画像》1859年
アンリ・ファンタン=ラトゥールは、フランスの画家です。
父親も画家
フランス、イゼール県のグルノーブルで生まれました。
父親はイタリア人で画家兼絵画教師、母親はロシア出身でした。
5歳のとき、一家はパリへ移りました。
クールベのアトリエ
幼い頃から父に絵の描き方を教えてもらい、14歳のとき、オラース・ルコック・ド・ボワボードランのアトリエで4年間学びました。
その後、エコール・デ・ボザールに入学し、短期間絵画を勉強し、尊敬していた写実主義の画家クールベのアトリエでも制作をしました。
ホイッスラー との出会い
この頃、ルーヴル美術館でティツィアーノやヴェロネーゼなどルネサンス期のヴェネツィア派の作品、レンブラントやフェルメール、ハルス、ピーテル・デ・ホーホ、ヴァン・ダイクなど17世紀フランドル・ネーデルラント絵画、ヴァトーやシャルダンを初めとしたロココ期の絵画を模写し、これらの作品から多くのことを学びました。
さらに、ロマン主義の画家ドラクロワやバルビゾン派の画家コローなどの作品に強く惹かれました。
ある日、ヴェロネーゼの代表作《カナの婚礼》を模写中に、画家ホイッスラーと出会い、長く交友関係を築きました。
後にファンタン=ラトゥールは、ホイッスラーと共に「三人会」を結成しています。
母国よりイギリスで成功
アンリ・ファンタン=ラトゥール《バラと果物のある静物》1863年
23歳から28歳までの間にイギリスへ3度旅行し、同地で花の静物画で成功を収めました。
ファンタン=ラトゥールをイギリスに紹介したのはホイッスラー でした。
印象派の画家との交流
アンリ・ファンタン=ラトゥール《エドゥアール・マネの肖像》1867年
25歳のとき、サロンに初入選しました。
この頃、ファンタン=ラトゥールは、カフェ・ゲルボワで、小説家兼批評家のゾラとその友人のマネ、モネ、ルノワール、バジールなど印象派の画家たちと知り合い、彼らのアカデミズムへの挑戦に高い共感を持ちました。
さらに、ルーヴル美術館で模写をおこなっていた画家モリゾにマネを紹介し、両者を引き合わせました。(というのも、当時は女性から男性に声をかけることはできなかったため、紹介してもらう必要があった)
グループポートレイト
アンリ・ファンタン=ラトゥール《ドラクロワ礼賛》1864年
28歳のとき、上の作品をサロンに出品しました。
アンリ・ファンタン=ラトゥール《バティニョールのアトリエ》1870年
34歳のとき、上の作品をサロンに出品しました。
上の作品の詳細はこちら↓
上の2点の作品は、一部からは否定的な意見も受けましたが、ほとんどの批評家や民衆から高い支持を得ました。
アンリ・ファンタン=ラトゥール《テーブルの片隅》1872年
ジャポニズム
アンリ・ファンタン=ラトゥール《花と果物》1865年
31歳のとき、パリ万博が終わった後、美術家、日本美術愛好家によるグループ「ジャングラールの会」を作り、「ジャポニズム」の普及に貢献しました。
会の名前は日本の酒の銘柄から命名されているそう。
毎月9人の会員がセーヴルに集まり、日本の着物を着て、日本食を箸で食べ、日本酒を飲む夕食会を開きました。
メンバーには版画家・陶芸家のブラックモン、画家のカロリュス=デュランなどがいました。
女流画家と結婚
アンリ・ファンタン=ラトゥール《デュブール家》1878年
40歳のとき、画家仲間のヴィクトリア・デュブールと結婚しました。
上の絵の、座っている女性(母親)の肩に手をかけている右の女性が妻のヴィクトリアです。
以降、夏になるとオルヌ県ビュレにある妻の家族の田舎の邸宅で過ごしました。
《ミューズ(リチャード・ワーグナー)》1886年
ファンタン=ラトゥールは、音楽愛好家としても知られており、同時代を代表する作曲家ワーグナーやベルリオーズのオペラを主題とした絵画作品を残しています。
バラの品種名にもなっている
アンリ・ファンタン=ラトゥール《バラとユリ》1888年
アンリ・ファンタン=ラトゥール《バラのある静物》1889年
アンリ・ファンタン=ラトゥール《バラの籠》1890年
バラの品種に「ファンタン ラトゥール」という名前のものがありますが(こちら:googleの画像検索結果に飛びます)、これは画家の名が由来です。
数多くの肖像画や静物画を制作しましたが、印象主義の台頭によって人気に陰りが見えるように…。
晩年期にはロマン主義的な傾向を示し、同主義の感覚が色濃い作品を手がけていました。
68歳のとき、ビュレの別荘で亡くなりました。
まとめ
・ファンタン=ラトゥールは、母国よりもイギリスで花の静物画で成功した画家