こんにちは!
今回は、ボストン公共図書館にあるアビー・ルームの壁画「聖杯の探究」を解説します。
早速見ていきましょう!
目次
アビー・ルームの壁画「聖杯の探究」
1、幼きガラハッド
エドウィン・オースティン・アビー《アビー・ルームの壁画「聖杯の探究」》1893-1895年
ガラハッドは、円卓の騎士ランスロットの息子です。
母エイレンは、イエスの墓をつくったアリマタヤのヨセフの一族だったことから、ガラハッドは、聖杯を探す使命を与えられていました。
エイレンは、ランスロットに恋をし、彼を騙してガラハッドを身篭り(ランスロットの想い人は別にあり、その彼女に変身して…)、出産するも、ガラハッドには当然拒否され、そのショックで死んでしまい、ガラハッドは修道院に預けられていました。
聖杯を持った天使が、修道女に育てられた幼いガラハッドに近づいています。
2、ガラハッドに拍車を取り付けるランスロットとボールス
修道院の中で生活をしていたガラハッドは、父親で円卓の騎士となっていたランスロットと再会しました。
ランスロットと、同じく円卓の騎士であるボールスが、ランスロットの靴のかかとに拍車(馬に合図を送るときに使う馬具)を取り付けています。
ガラハッドは、精神的な純粋さを表すため、この壁画シリーズ全体を通して赤色の服を着ています。
3、アーサー王の円卓と危険な席の伝説
アーサー王の円卓には13の席がありました。
そのうちの1席は「危険な席」と呼ばれ、選ばれし者以外が座ると死んでしまう呪いの席でした。
白衣のアリマタヤのヨセフに連れられてきたガラハッドは、その危険な席に座ることができました。
彼こそが聖杯を探すことのできる選ばれた人間だということが証明され、天使たちが現れて彼を祝福しています。
4、聖杯を求めて出発した円卓の騎士
ガラハッドを含む円卓の騎士たちは、聖杯探しの旅に出ました。
5、呪文に縛られているアンフォルタス王と聖杯城
聖杯は、アリマタヤのヨセフによってイギリスにもたらされました。
ヨセフの死後、漁夫王であるアンフォルタス王が聖杯の保護者となりました。
聖杯城のアンフォルタス王は、聖槍によって負傷し、その傷が癒えず、非常に苦しんでいました。
しかし、次の聖杯保護者が現れるまでは、聖杯を守るため、死ぬことができませんでした。
この呪いを解くためには、ある「質問」(城で目にした不思議な行列について)をアンフォルタス王にする必要があるのですが、ガラハッドは変に質問するのは失礼だろうと考え、黙ったままでした。
6、ガラハッドが自分の探求を熟考している
聖杯城を訪れた翌朝、ガラハッドは昨日のことをじっくり考えました。
そこへ呪われた乙女たちが来て、「質問」をしなかったガラハッドを嘲笑しました。
7、闇の七騎士
闇の7人の騎士は、七つの大罪を表しており、彼らは乙女、つまり「美徳」を城に閉じ込め、この城に男を入れないようにしていました(この城に近寄った乙女は幽閉、騎士は皆殺し)。
ガラハッドは、彼らを倒しました。
8、乙女の城の鍵を受け取るガラハッド
僧侶がガラハッドを祝福し、その城の鍵を彼に渡しました。
9、乙女の城
闇の7人の騎士に乗っ取られる前の城の主の娘は、彼らに襲われ、死ぬ直前に「騎士がたった1人であなたがた全員をやっつけるでしょう」と予言していました。
ガラハッドが城に入ると、大勢の乙女が彼を取り巻き、大喜びで、自分たちを開放してくれたガラハッドを出迎えました。
10、ガラハッドとブランシュフルールの結婚
ガラハッドはブランシュフルールと出会い、彼女に恋をしました。
しかし、結婚式の朝、聖杯を手にできるのは処女騎士だけだということを知り、彼女の元を去りました…。
11、アンフォルタス王(漁夫王)の死
数々の冒険を通じて成長したガラハッドは、聖杯城に戻り、質問をすることに成功しました。
そのため、彼はなんとかアンフォルタス王を呪文から解放することができました。
罪が清められた今、老人は死ぬことが許され、天使が城から聖杯を運び去っています。
12、ガラハッドがその地を通り過ぎる
アンフォルタス王を癒したことにより、王と一緒に呪われていた国に平和が訪れました。
馬に乗ったガラハッドに、人々は感謝しました。
13、ソロモンの船で海を渡るガラハッド
同じ円卓の騎士ボールスとパーシヴァルと一緒に、ガラハッドは、天使が担った聖杯に導かれて、ソロモンの船で海を渡り、サラスを目指します。
14、サラスの街
サラスに到着した一行は、聖杯の力によって異教の王をキリスト教に帰依させ、ガラハッドは1年間だけサラスの王となりました。
15、黄金の木
サラスの王となったガラハッドは、金色の木を植えました。
天使が現れ、聖杯は、ガラハッドの魂と共に天国に昇っていきました。