食人?!実際の事件を題材にした「メデューズ号の筏」を解説!

こんにちは!

今回は、ジェリコーの《メデューズ号の筏》を解説します。

早速見ていきましょう!

メデューズ号の筏

テオドール・ジェリコー《メデューズ号の筏》1819年

27歳のときに制作した作品です。

約5 × 7メートルもある、超巨大な作品です。

実際にあった事件が元になっている

1816年7月5日、フランス海軍の軍艦メデューズ号が難破した際に起きた事件を描いた作品です。

アフリカ西海岸のセネガル沖で座礁し、多くの死者を出しました。

船長や高級士官たちは救命ボートに乗って助かりますが、149人の乗客や船員は、急ごしらえの筏に降ろされたまま見捨てられ、漂流し、ほとんどの人が救出までの13日間で死亡しました。

生き残った15人も、飢餓、脱水、食人、狂気にさらされることに…。

事件は国際的なスキャンダルとなり、フランス復古王政の当局指揮下にあったフランス軍指揮官の、無能も原因のひとつだったのではいわれています。

ジャーナリズム絵画

神話や歴史などの場面ではなく、同時代に起きた事件やスキャンダルをテーマとして描いた作品として、当時とても革新的でした。

極限状態に置かれた人間の狂気が伝わってきます。

躍動感や激しさのある作品で、ジャーナリズム的な絵画だといわれています。

死体をスケッチ

ジェリコーは、生存者から当時の状況を聞き、デッサンや習作を重ね、1年かけてこの絵を完成させました。

大病院で解剖された手足をもらってきたり、死体収容所で死体を写生して、リアリティーを追究しました。

 

中央手前で倒れている人物のモデルは、仲の良かった後輩のドラクロワです。

希望を描く

 

遠くに救出船が見えます。

なんとか気付いてもらおうと、必死に布を振ります。

船が難破した場面ではなく、遠くに船を見つけた場面を描いたのは、困難のなかでも諦めず、なんとか生き抜こうとする人間の姿を劇的に描きたかったからです。

お咎めなし

フランス政府が隠していたメデューズ号の事件の真相を描いたこの作品、政府から怒られるかと思いきや、お咎めなしだったそう。

というのも、ジェリコーは、政府を刺激しないように作品のタイトルを《難破の情景》に変えて出品していました。

とはいえ、当時の人々には、この作品がメデューズ号の事件を描いているとわかりました。

芸術としてではなく、スキャンダラスな作品として多くの人々に興味を持たれたことに、ジェリコーはショックを受けたそう…。

入場料で儲かる

29歳のときロンドンへ行き、《メデューズ号の筏》を入場料を取り公開し、大成功を収めています。