フリーマーケットで買った絵がルノワールだった?けれど…ミステリー小説のような本当にあった事件を超解説!

こんにちは!

今回は、フリマで買った絵がルノワールだった?!という夢のような話を紹介します。

早速見ていきましょう!

フリーマーケットで買った絵がルノワールだった?

ピエール=オーギュスト・ルノワール《セーヌ河の川岸》1879年

2012年9月、フリーマーケットで買った絵がルノワールの作品だったという夢のような出来事が世間を騒がせました。

730円で買ったオマケの絵

2009年、運転教習所経営のマルシア・フークアという女性が、アメリカ・バージニア州のフリーマーケットで、プラスチックの牛とポール・バニヤン(アメリカの伝説上の巨人、怪力無双のきこり)の人形と絵が入った箱を7ドル(約730円)で購入しました。

最近になって処分しようとしたとき、額縁に付いていた「ルノワール」のプレート文字を見て、母親が鑑定に出すよう勧めました。

鑑定の結果、ルノワールが愛人のために描いた作品だったということが判明しました。

オークションも予定され、その価格7万5000〜10万ドル(約780~1040万円)ともいわれていました。

これだけなら、「なんて夢のある話なんだ…!」で終わりますが、この話にはまだ続きがあります。

盗難品だった

その後この絵は、1951年にボルチモア美術館から盗まれた絵だったことが判明しました。

作品はFBIが押収し、オークションも急遽中止になり、所有権を巡る裁判にまで発展しました。

ルノワールの作品だとわかっていたのでは?

マルシアがFBIに宛てた返還嘆願の手紙によれば、「私はアートについて素人です。本物のフランス印象派の作品を特定できるような専門知識を得るための教育も訓練も経験もありません。これが本物のルノワールだなんて知らずに偶然買ったものです」

ところが実は、鑑定を思い立たせた彼女の母親は、地元で長年アートスクールを経営している人物でした。

しかもルノワールを含む巨匠たちの複製画を得意とする職業画家でもありました。

娘がスクール経営に関わっていたという証言も出てきて…。

母親が所有していた?

さらに「この絵は元々、女性の母親が持っていた」という証言もスクープされ、事態は騒然となります。

後日、ワシントンポストのもとにマルシアさんの弟を自称するマットなる男性から連絡が入り、彼は驚くべき事実を暴露しました。

「あの絵はもともと母が持っていたもので、多分5〜60年前から家にあったものです。姉があの絵をフリーマーケットで買ったわけがない。母のアトリエから盗んだのでしょう」

どんどん雲行きが怪しくなってきたところで、2度目の取材で弟は急遽前言を撤回し、3度目には、「最初の取材に答えたのは自分の名を騙る詐欺師」と言い出す始末。

本当の持ち主

ワシントンポストは、ボルチモア美術館の古い書類の中に記録を発見しました。

それによると最後の所有者は高名なアート・コレクターで同美術館の後援者、セイディー・メイということが明らかになりました。

正式に美術館に寄贈する前の1951年に彼女は死亡しており、絵はその直後に盗み出されており、美術館も気付かなかったのかもしれません。

また世界の盗品アートのリストにも登録されておらず、今回の発見に美術館関係者も驚いたとか。

疑惑

そしてそしてさらに怪しげな事実が浮上します。

実は件の母親は、美術館のあるボルチモア郊外のアート・カレッジを1952年に卒業していたことが分かったのです。

盗難のあった51年当時、ボルチモアの美術界と繋がりがあり、絵のあった美術館に出入りしていた可能性があります。

自称「弟」の「5〜60年前から所有していた」という最初の証言を考えると、なんとも胡散臭い親子に思えてきます…。

裁判の結果

裁判で所有権を主張しているのは、「マルシア・フークア」、「ボルチモア美術館」、そして盗難時に保険金25000ドルを支払った「保険会社ファイアーマンズ・ファンド」の3者でした。

この中で最も強い法的所有権を持っていたであろうこの保険会社が自発的に訴訟から撤退し、ボルチモア美術館への権利に署名しました。

そして2014年1月、裁判の結果、ボルチモア美術館に返還されることになりました。

この絵のクレジットラインには、セイディー・メイの遺贈と、この保険会社の厚意によるとの記載がされています。