こんにちは!
今回は、近年大発見のあったフェルメールの《窓辺で手紙を読む女》についてです。
早速見ていきましょう!
窓辺で手紙を読む女
ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》1659年 修復前
だまし絵
絵の手前にカーテンがある、だまし絵的面白さのある作品です。
当時、大事な絵には日焼け防止のカーテンをかけていました。
この絵では手前にカーテンを描くことで、奥行きを強調し、閉ざされた空間を演出、そしてのぞき見しているような感覚を味わうことができます。
フェルメールの身長がわかる?
本作は、他の作品と比べ、見下ろす視点なため、フェルメールがこの絵を立って描いたのでは?とも言われており、それをもとにフェルメールの身長を算出したところ、165〜170cmだったそう。
フェルメールは塗りつぶしてなかった
この絵、日本にも何度か来ているので、見たことがある人もいるかとは思いますが、
なんと!新事実が発覚したんです!
壁の部分に描かれていた絵が、第三者によって塗りつぶされていたんです!
ヨハネス・フェルメール《窓辺で手紙を読む女》(修復後)1657-59年頃
1979年にはすでに、X線調査で壁にキューピッドの絵があることはわかっていました。
その時点では、フェルメールが自分で塗りつぶしたと考えられていました。
2017年から始まった修復作業で、X線や赤外線を使った調査をしたところ、塗りつぶされたのは、絵画作成の数十年後、つまりフェルメールの死後だったことが判明しました。
修復過程
古いニスで黄ばんだ部分を除去しつつ、塗りつぶされたところを、削っていきます。
キューピッドもびっくりしますが、壁がびっくりするくらい白かったことにも驚きました…。
2018.01,25
2018.06.11
2018.08.17
2019.01.10
2019.04.30
2020.01.16 修復中
額縁に入ったキューピッドの絵が現れました。
この修復の面白いところは、「修復しない方がフェルメールっぽい」です。
フェルメールの一般的なイメージって、《真珠の耳飾りの少女》や《牛乳を注ぐ女》みたいなシンプルで静かで神聖な感じだと思うのですが、この絵みたいに案外ごちゃごちゃした絵も多かったりします。
別の絵にも登場するキューピッド
《中断された音楽の稽古》1658-1659年
わかりにくいのですが、画面を明るくして拡大して見ると、キューピッドがいます。
ヨハネス・フェルメール《ヴァージナルの前に立つ女》1670-1672年
この絵にもキューピッドがいますね。
どの絵も同じポーズをしています。
どうしてもこのポーズ「レッドカード!」って言っているようにしか見えない…(違う)
キューピッドの元ネタ
オットー・ファン・フェーン《愛のエンブレム集》1608年
当時こういった寓意画集は人気があり、画家たちはよく図柄を参考にしていたそう。
上の絵は「恋人はただ1人だけを愛するべきだ」という意味です。
フェルメールもその意味を踏まえて絵の中に入れたのでしょう。
そうすると、どの絵も恋にまつわる絵だということが分かってきます。
修復の資金を出しているのは日本
《窓辺で手紙を読む女》の修復が完了し、2022年この絵が日本に来ます!所蔵館以外で世界初公開!です!
ちなみにこの修復の資金を出しているのは日本の財団です。
フェルメールに限らず、日本の会社はよく、修復の資金援助などをしているので、そこで恩を売って、作品を借りているんだな〜なんて思ったり。