こんにちは!
今回は、マーベルの映画『エターナルズ』に登場する人物の元ネタを解説します。
※ネタバレなので映画鑑賞後にお読みください※
早速見ていきましょう!
目次
エターナルズ
映画ポスター eternals-3 エターナルズ-3ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
映画ではわかりやすくするためなのか、1キャラ1能力という設定でしたが、原作コミックのエターナルズのメンバーが特殊能力を複数持っているという設定からして、まさしく神話の神…!(神話の神は複数の物事を司っているため)
イカリス
映画ポスター eternals-9 エターナルズ-9ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
ギリシャ神話に登場するイカロスがモデルです。
イカロスは、蜜蝋で固めた翼によって自由自在に空を飛ぶ能力を得ましたが、太陽に接近し過ぎたことで蝋が溶けて翼がなくなり、墜落して死んでしまいます…。
イカリスは、エターナルズの戦術的リーダーで、最も強力なメンバーでした。
驚異的なパワーと飛行能力、目から強力なコズミック・エネルギーのビームを発射と、まさにスーパーマン…。
神話のイカロスの傲慢さをイカリスもバッチリ引き継いでいましたね…「イカリス」という名前だけで映画見る前から嫌な予感がしたんだよなぁ……。
伝ピーテル・ブリューゲル《イカロスの墜落》1555-1558年頃
上の絵、どこにイカロスがいるかというと、画面右、船の手前に見えている足です…。
劇中でスプライトがイカリスの逸話を口述で伝えることで、それが神話となっていったことが語られていました。
また、ラストでイカリスが太陽に向かって飛んでいきましたが、これも神話のオマージュでしょう。
インド映画界ボリウッドの人気俳優になっていたキンゴが、自身の映画の題材に選んだのも「イカリスの物語」でしたね。
セルシ
映画ポスター eternals-13 エターナルズ-13ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
ギリシャ神話に登場する魔女キルケーがモデルです。
キルケーは、人を動物に変身させ、自在に操ることができます。
セルシも、物質を操作する能力を持ち、手に触れた生物以外の物体の構造を変化させることができましたよね。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《オデュッセウスに杯を差し出すキルケー》1891年
トロイア戦争で活躍した英雄オデュッセウスを動物(豚)に変えてやろうと魔法の酒を差し出しているキルケーが描かれています。
彼はマーキュリーからもらった解毒剤で身を守り、さらにキルケーと恋仲になり1年間一緒に暮らしていましたが、帰還を望む部下たちに促されてキルケーと過ごした島を去ります。
劇中でもセルシを置いてイカリスが姿を消してしまいましたよね…。
余談ですが、『千と千尋の神隠し』でも、千尋の両親が簡易食堂で食べ物を貪り食べて豚になり、豚小屋に追い立てられていましたが、これもキルケーの話が元ネタでしょう(千と千尋では他にもギリシャ神話や日本神話の有名な物語が使われています)。
エイジャック
映画ポスター eternals-5 エターナルズ-5ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
ギリシャ神話に登場する英雄の大アイアース(なぜ大と付いているのかというとアイアースが2人いるため。コミック版で登場するエイジャックの弟アレックスが小アイアース)と、アステカ神話に登場する文化・農耕・風の神ケツァルコアトルがモデルです。
エイジャックは、エターナルズの精神的リーダーで癒しの力を持っており、その知恵と指導力でチームを導き、人類を守り、今日のような文明を築くのを助けてきました。
アスムス・ヤコブ・カルステンス《悲しみに満ちたアヤックス》1791年頃
大アイアースは、トロイア戦争におけるギリシャ側の武将で、彼の物語である悲劇『アイアース』が残っています。
《ケツァルコアトル》16世紀
ケツァルコアトルは、平和の神で、人類に火をもたらした神ともされています。
エイジャックの棲家
アンドリュー・ワイエス《クリスティーナの世界》1948年
エイジャックの棲家は、上の絵をモデルにしているとクロエ・ジャオ監督が認めています。
この絵、日本ではそこまで馴染みのある絵ではないかとは思いますが、アメリカではとっても有名な絵です。
彼女は草むらに腰を下ろしてくつろいでいるわけではありません。
描かれているのはアンナ・クリスティーナ・オルソンという実在した人物で、下半身が麻痺していたことから、這って進むことしかできませんでした。
その姿を見て、創作意欲をかき立てられた画家が描いた作品です。
ファストス
映画ポスター eternals-12 エターナルズ-12ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
ギリシャ神話に登場する鍛冶の神ヘパイストスがモデルです。
下の絵を見てもわかるように、ヘパイストスは神々の武器を作りました。
ファストスが発明のパワーを持ち、十分な原材料さえあれば、イメージするものならなんでも作り出せるという設定はまさしくヘパイストスですね。
ピーテル・パウル・ルーベンス《ゼウスの雷光をつくるヘパイストス》1636-1638年
ヘパイストスはとても醜く、とても人のいい神で、妻はなんと愛と美の女神ヴィーナスです。
気分が悪くなるほどの外見ゆえに苦労しますが、頭の回転が早く、器用でした。
マッカリ
映画ポスター eternals-11 エターナルズ-11ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
ギリシャ神話に登場する旅と商売の神マーキュリーがモデルです。
泥棒の守護神でもあり、マーキュリー自身も泥棒です。
頭の回転も足の速さもピカイチなマーキュリーは、神々の伝令役に指名されました。
マッカリも、超スピードで走る能力を持つ、宇宙最速の女性で、エターナルズのために偵察任務で活躍していましたね。
ヘンドリック・ホルツィウス《メルクリウス》1611年
エメラルドの石板
エメラルド・タブレットの想像画(17世紀のドイツの錬金術師・医師ハインリヒ・クンラート『永遠の智恵の円形劇場』1602年より)
劇中に登場したエメラルドの石板は、「エメラルド・タブレット」が元ネタです。
エメラルド・タブレットは、錬金術の極意や奥義が刻まれた巨大なエメラルドの石板のことです。
そしてこの石板を作ったといわれているのがマーキュリーです。
劇中でマッカリが、エメラルドの石板を物々交換で手に入れようとしていたときに相手を騙したのも、マーキュリーっぽいシーンだなぁと思いました。
あくまで伝説、実物は見つかっていませんが、エメラルド・タブレットに刻まれていた文章については残っています。
ドルイグ
映画ポスター eternals-10 エターナルズ-10ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
ドルイグについては「これだ!」という明確なモデルは判明していませんが、ドルイド僧もしくはロシア語で「友人」からきてるのでは?といわれています。
ドルイド僧はケルト人の司祭で、魔術師であり予言者でもありました。
ドルイグは、コズミック・パワーを利用して人間の心を操る能力を持っていました。
ギルガメッシュ
映画ポスター eternals-8 エターナルズ-8ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
シュメール神話に登場する、古代メソポタミアの伝説的な王ギルガメシュがモデルです。
ギルガメシュが実在したという明確な証拠は発見されていませんが、実在の人物であった可能性が高いそう。
かなりの剛腕で、武器の扱いに長け、掴み合いや殴り合いのような己の拳で戦う武勇に優れていました。
その一方で、性格は極めて人間的で、良く笑い良く怒り良く泣き良く祈る、感情の起伏が激しい人物でした。
ギルガメッシュは、最も強く、もっとも優しきエターナルズで、コズミック・エネルギーで強力な外骨格を形成し、強力なパンチで敵を倒していましたよね。
《ライオンを捕獲したギルガメシュ》紀元前713-716年
劇中で、スプライトが創作したギルガメッシュの物語が『ギルガメシュ叙事詩』になったことが語られていました。
この『ギルガメシュ叙事詩』は、人間の知られている歴史の中で最も古い作品で、永遠の人生を求めて旅立つ冒険譚であり友情の物語です。
キンゴ
映画ポスター eternals-7 エターナルズ-7ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
バビロニア神話に登場する神キングがモデルです。
キングは他の神によって殺され、彼の血と骨は人類創造の材料になりました。
キンゴは、有名人になりたいという願望を持っている陽気なエターナルズで、手からコズミック・エネルギーを発射する能力を持っています。
一見神話のキングとキンゴは関係が無いように思えますが、力を欲したという点では似ているのかもしれません。
スプライト
映画ポスター eternals-14 エターナルズ-14ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
ヨーロッパの神話に登場するエルフや妖精、またはピーターパンがモデルです。
妖精の中で最も有名なもののひとつが、シェイクスピアの喜劇『真夏の夜の夢』に登場するいたずら好きな妖精パックです。
英語の「sprite」はラテン語の「spiritus」から派生した言葉で、「spiritus」は霊や精神などを意味し、現代英語の「spirit(スピリット)」に相当します。
スプライトは、13歳の少女の外見のままなのがコンプレックスで、本物そっくりの幻影を作り出す能力を持っています。(ちなみにディズニーのピーターパンは公式設定によると12歳)
ジョシュア・レノルズ《パック》1789年
セナ
映画ポスター eternals-6 エターナルズ-6ポスター キャンバス絵画 インテリアパネル インテリア絵画 新築飾り 贈り物 サイズ (90x60cm)
ギリシャ神話に登場する知恵と戦略の女神アテナがモデルです。
セナは、コズミック・エネルギーを使ってどんな武器でも作り出すことができる能力を持つ、勇猛な戦士です。
映画を見てわかるように、「セナ」とは呼ばれておらず「シィーナ(もしくはティーナ)」のように呼ばれています。
これは彼女の名前が「Athena(アテナ)」から「A」を取った「Thena」が名前だからです。
ちなみに「Athena」は「アテナ」とは発音せず「アシィーナ」に近い音です。
グスタフ・クリムト《パラス ・アテナ》1898年
エターナルズでのあの特徴的で美しい金色の線は、もしかしたらクリムトの絵に影響を受けているのかもなぁと思ったり。
ギリシャ神話には似たような神でマルスという軍神がいますが、マルスは破壊や戦争など残酷なことが大好きな神、アテネは知恵や平和のために戦う者の神という違いがあります。
エクスカリバーの剣
アーサーとエクスカリバーの描画 1906年
劇中セナが剣を振るシーンで、その剣がエボニー・ブレイドかと聞かれて「エクスカリバー」だと答えるシーンがあります。
エクスカリバーは、アーサー王伝説に登場する、アーサー王が持つとされる剣の名前で、魔法の力が宿るとされています。
ちなみにエボニー・ブレイドが何かというと、ポストクレジットでデインが手に取ろうか迷っていた呪いの魔剣の名前です(これで彼がブラック・ナイトというヒーローになることがわかります)。
そしてこの剣も、かつてのアーサー王の時代に魔術師マーリンによって隕石から造られた剣というアーサー王絡みのものです。
クロ
ギリシャ神話に登場する農耕神クロノスがモデルです。
自分の子供を食べたエピソードが有名で、ゴヤの下の絵に見覚えがある人は多いはず…。
クロがエターナルズの能力を体内に取り込んでいるところなんて、まさしくこの神話のエピソードを元にしていますよね。
フランシスコ・デ・ゴヤ《我が子を食らうサトゥルヌス》1820-1823年
エロス
ウィリアム・アドルフ・ブグロー《濡れたキューピッド》1891年
ミッドクレジットシーンで登場したエロス(スターフォックス)は、ギリシャ神話に登場する愛と創造性の神エロス(=キューピッド)がモデルです。
神話のエロスは金の矢を放ち、神々や人間の心に欲望の炎を灯しますが、MCUのエロスには一体どんな力があるのでしょうか?!?!
ウィリアム・ブレイク「無垢の予兆」
画家であり詩人としても有名なウィリアム・ブレイクの有名な詩「無垢の予兆」も「エターナルズ」に影響を与えているとクロエ・ジャオ監督が語っています。
To see a World in a Grain of Sand
And a Heaven in a wild Flower
Hold Infinity in the palm of your hand
And Eternity in an hour
一粒の砂の中に世界を見
一輪の花に天国を見る
君の手のひらで無限をつかみ
一瞬のうちに永遠をつかめ
たくさんの砂(時間)の中から、手のひらで掴んだ一粒の砂で、一瞬の時を知る。
一粒の砂は全世界そのもので、ここから全体の形を推測する。
大きなものの中には小さなものが、小さなものの中には大きなものがあるということを表した詩です。
映画の根底に流れる哲学のようなものですね。
ちなみにこの詩はこの後も続きます。
この冒頭の4行が有名で、映画「博士の愛した数式」のラストシーンにも登場しています。
エンディングの聖ミカエル
ラファエロ・サンティ《悪魔を倒す聖ミカエル》1518年
私の見間違いでなければ、エンディングにこの絵が登場していたかと思います。
ディヴィアンツを倒すエターナルズの姿が、普通の人にはこう見えたのかもしれません。