マイティ・ソーの元ネタ北欧神話超解説!ロキやソーの元になったキャラがいる?

こんにちは!

今回はアベンジャーズの中でソーが一番大好き!

コミコンでソー(クリヘム)からサインをもらいに行った私が、

マーベル『マイティ・ソー』の元になっている北欧神話(一部ギリシャ神話、エジプト神話)が描かれている絵画を元にまとめてみました!

※『マイティ・ソー』シリーズ(最新作『ソー:ラブ&サンダー』含む)『ロキ』のネタバレ含みます

『マイティ・ソー』とは


映画 パンフレット / マイティ・ソー / ダーク・ワールド / THOR THE DARK WORLD

世界中で大人気MCU (マーベル・シネマティック・ユニバース) の中のシリーズです。

主人公の雷神ソームジョルニアという最強のハンマーを使って、最終的には仲間(アベンジャーズ)と悪に立ち向かうお話です。

完全に映画のために作った設定だと思っていましたが、なんと!元ネタがあったんです!!

北欧神話 超解説

北欧神話と聞いて、あぁあれね…とピンとくる方は少ないはず。

ですが、英語の曜日火・水・木・金はこの北欧神話に登場する神々から取られています。(なぜそうなのかは不明)

ちなみに木曜日Thursdayはソーこと雷神トール(トールの英語読みがソー)

水曜日Wednesdayはオーディン(最高神・マイティソーシリーズでは、ソーのパパ)

と意外に身近に紛れていたりします。

世界の始まりは、火と氷

びっくりですがの中から巨人ユミル(巨人族の先祖)と雌牛(アース神族)が生まれます。

雌牛の生んだ神が巨人族の娘と結婚、3人の子供が生まれます。

そのうちの一人がオーディンです。

巨人族への不満から、ユミルを殺害し、なんとびっくり体を解体して世界を作ります。

肉で大地を、骨で山脈を…などなど昔話あるあるな超展開。

さらに海辺で拾った2本の木から人間を作りミッドガルド(地球・MCUでも出てくる呼び方です)を作りました。

そしてオーディンたちは天上にアスガルド(MCUおなじみソー達の住む世界ですね)を作り、

巨人を遠くへ追いやりました。

後に世界の中心にユグドラシル (大きな世界樹・MCUでは別世界を表しています)がそびえ立ちました。

そして個性豊かな神々の物語が始まります。

キャラクター(神々の紹介)

北欧神話に登場する神は、絶対的な神ではなく人間と同じように生きて、死んでいきます。

『マイティ・ソー』シリーズのキャラクターが神でありながらも、親しみをもてるのはそこにあるかもしれません。

主神 オーディン


ゲオルク・フォン・ローゼン《流離人オーディン》1886年

北欧神話の神の中で最上の神です。

ギリシャ神話でいうところのゼウスのような最強ポジションです。

『マイティ・ソー』ではソーの父であり、アスガルドの王です。

知識欲が強く、そのためになら自分の片目を差し出したり(『マイティ・ソー』でも片目ですね)、生贄になったりと、正直理解はできないけどすごい努力をします。

知識の鬼です。

そのおかげで、かの有名なルーン文字などの知識を習得します。

18世紀のアイスランド語の写本『SÁM 66』より部分

オーディンにはフギンムニンというカラスがいて、2羽はオーディンへ様々な情報を伝えるため、世界中を飛び回っています。

フギンは「思考」を、ムニンは「記憶」を意味しています。

『ソー』シリーズでも何度かチラッと登場していました。

アーサー・ラッカム『ヴァルキューレ』の挿絵 1910年

こちらはオーディンの軍馬で8本脚のスレイプニルです。

雌馬に化けたロキと魔法の馬の子供です。

『ラグナロク』に登場しています。

雷神 トール(ソー)


モルテン・エスキル・ヴィンゲ《トールと巨人の戦い》1872年

雷神で北欧神話最強の戦士です。

馬鹿力で豪胆、大食漢。

一応オーディンの息子ということになったらしい。(当初はオーディンと同格かそれ以上の地位だったし、息子ではない)

上の絵でトールの乗った戦車を引いているのは魔法のヤギ、タングリスニとタングニョーストです。

このヤギたち、戦車を引くだけでなく、なんとトールの食料にもなり、骨と皮さえ残っていれば、次の日にミョルニル(ムジョルニア)を振れば蘇るというすごいヤギです。

『ラブ&サンダー』では、白ヤギのトゥース・グラインダーと黒ヤギのトゥース・ナッシャーとして登場しています。これが本当にうるさい。笑

劇中で「静かにしないと食うぞ!」と言われて静かになったのはこの元ネタありきでしょう。笑

ヨハン・ハインリヒ・フュースリー《ミッドガルド蛇と戦うトール》1790年

絵の中でもミョルニル(ムジョルニア)という壊れない・投げたら絶対に的に当たって再び手に戻ってくる最強のハンマーを手にしていますね。

『マイティ・ソー』にもこのムジョルニアが出てきますね!!(かっこいい)

北欧神話最大のトリックスター ロキ


コンスタンティン・ハンセン《エーギルの饗宴》1857年

いたずら好きの神で、美しい顔だけど邪悪で狡猾、嘘つきで気が変わりやすい性格。

変身術を得意としています。

ここまで聞くと、本当に『マイティ・ソー』のロキじゃん?!?!ってなるくらいにはロキ。

ただし、北欧神話ではトールとロキは兄弟ではありません。

神話の中でも『マイティ・ソー』でもなんやかんやトール(ソー)とは仲良しです。

クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベルグ《バルドルの死》1817年

左端でマントで笑顔を隠そうとしているのがロキ、中央の赤いマントがオーディン、その右横がトールです。

ちなみに『マイティ・ソー』で登場するロキの実の父で氷の巨人の王ラウフェイは、北欧神話ではロキの母親で、火の神です。

オーディンの妻で最強の女神 フリッグ

アーサー・ラッカム『ワルキューレ』のイラストより 1910年

愛と結婚と豊穣の女神です。

金曜日Fridayはフリッグの日という意味(フレイヤの日という説も)です。

『マイティ・ソー』でも、オーディンの妻、ソーたちの母としてフリッガという名前で登場しています。

トールの妻 シフ

ジョン・チャールズ・ドルマン《シフ》1909年

北欧神話ではトールの妻です。

彼女も神ですが、何の女神なのかよくわかっていないそう。

上の絵では、シフの自慢の美しい金髪を刈り取ろうしているロキが描かれています。

ドラマ『LOKI』で、ロキがシフに髪の毛を切った恨みで何度も殴られていたのはこれが元ネタです。笑

『マイティ・ソー』では、ソーの仲間の女戦士として登場しています。

女戦士 ヴァルキリー


ペーテル・ニコライ・アルボ《ヴァルキリー》1864年

ヴァルキリーとは一人の名前ではなく、戦場で生きるもと死ぬものを定める半神半人の女戦士の総称です。

戦死した勇敢な戦士の魂をアズガルドへ持って帰り、最終戦争ラグナロクへ備えます。

『マイティ・ソー』でもめちゃくちゃかっこいい女戦士ヴァルキリーが登場します!

アスガルドの番人 ヘイムダル


ニルス・ブロメール《ヘイムダルがフレイヤにブリーシンガメンの首飾りを返す場面》1846年

光の神。白いアースとも呼ばれている。

眠りを必要とせず、昼でも夜でも遠くまで見ることができる最強の視力と、

草の伸びる音すら感知する、鋭い聴力の持ち主。

虹の橋ビフレストで見張りをしています。

『ソー』シリーズにも登場します!(かっこいい)

角笛ギャラルホルンを持っており、これが北欧神話のラストラグナロクへ繋がります…!

『ラブ&サンダー』では、彼の子供アクセルが登場していました。

彼の本名は「アストリッド」、古ノルド語でáss(神)とfríðr(美しく、公正)をくっつけたもので、女性名です。

北欧神話は基本的にはこの古ノルド語で書かれた物語です。

劇中で頑なに「アクセル」と呼ばせようとしていたことから、彼がトランスジェンダー男性だと推測できます。

ロキの娘 死者の国を支配する女神ヘル

ヨハネス・ゲールツ《ヘル》1889年

老衰、疫病による死者の国を支配する女神で、ロキの娘です。

北欧神話の中で唯一、死者を生き返らせることができます。

『マイティ・ソー』シリーズの映画「ラグナロク」では、ヘラという名前で、最大の敵&ソーとロキの姉として登場します。(劇中でも死者を生き返らせて操っていましたよね)

劇中でヘラの手下として登場したスカージも、北欧神話ではスカジという山の女神(女巨人)として存在しています。

炎の巨人 スルト

ジョン・チャールズ・ドールマン《彼の炎の聖剣で世界を破壊するスルト》1909年

ラグナロクでは、ムスペルの一族を率いてアスガルドを襲撃し、世界を焼き尽くしてしまいます…。

『マイティ・ソー』でも、炎の悪魔の国ムスペルヘイムの王スルトとして登場し、アスガルドの滅亡「ラグナロク」を招きます。

世界の終わり ラグナロク

ヘイムダルの角笛ギャラルホルンが鳴り響き、神々と巨人の最終戦争が始まります。

ちなみにこの戦いの原因を作ったのはロキです。


エミール・ドプラー《トールとヨルムンガンドの戦い》1905年

トールが毒蛇と戦っている場面です。

毒蛇を殺した後、蛇の毒が回り、トールも死亡します…。


エミール・ドプラー《オーディンとフェンリル、フレイとスルトの戦い》1905年

やばい狼と戦うのは主神オーディン。

主神だもの、さぞ強いだろうと思いきや、に食べられてしまいます…。

とはいえ、普通の狼ではなく、フェンリルという名前の狼の姿をした巨大な怪物で、ロキの子供でした。

『マイティ・ソー』では映画「ラグナロク」でヘラの可愛がっていた狼フェンリス・ウルフとして登場します。

バタバタと死にゆく神たち…

もうヘイムダルくらいしか神生き残ってなくない?というシチュエーションで、

ついにヘイムダルとロキの戦いに!

相打ちになり、最後は炎の巨人スルトが大暴れし、世界樹ユグドラシル燃えてしまいました…。


エミール・ドプラー《ヴァルハラ炎上》1905年頃

ヴァルハラとはオーディンの宮殿です(MCUでは戦場で名誉ある死を遂げた戦士の魂が送られる場所)。

世界中の全てのものが燃えて海へ沈み、となりました。

その後、大地は海から再浮上し、豊かな自然に恵まれ、

死の世界から戻ってきた神や、ラグナロクを生き抜いた神が、どこからか出てきて新たな世界が始まりました。

(終)

※北欧神話の解釈や展開は資料によって異なります。完全バッドエンド版もあります。
今回はメジャーな路線で簡単に解説しました。

『マイティ・ソー』シリーズでも「ラグナロク(邦題:バトルロイヤル)」という映画があります。

とにかく戦いまくりの、危機だらけのストーリだったので、ラグナロクがベースっていうのにも納得しました。

登場人物や、世界観の設定が、北欧神話とリンクしている部分が多く、少しでも知っているだけで、面白さが違います。

ギリシャ神話

最新作『ソー:ラブ&サンダー』で新たに登場したのは、なんとギリシャ神話の神!

神々の王 ゼウス

ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル《ユピテルとテティス》1811年

神々の王、最強神で、雷を操ります。…が超浮気性。

映画でも神々の王として君臨し、周りに綺麗な女性を侍らせていましたね…。

ゼウスと一緒に鷲が描かれることが多く、映画でも彼の胸元には鷲のマークが描かれていました。

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享楽的酒の神 ディオニュソス

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ《バッカス》1598年頃

ぶどう酒と悦楽と豊穣の神で、ゼウスの息子です。

映画では、ゴアに最初に殺された神として登場しています。

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暴れん坊大英雄 ヘラクレス

アントニオ・デル・ポッライオーロ《ヘラクレスとヒュドラ》1475年頃

ゼウスと人間の女の間に生まれた半神のヘラクレスは、知名度も冒険の数もダントツでトップの英雄です。

英雄らしからぬ面も持ち、粗暴でいながらどこか憎めず、頭の回転も早い人物でした。

彼は棍棒やライオンの皮をまとった姿で描かれます。

上の絵ではヒュドラという怪物を退治をしていますが、この怪物、MUCでは悪の組織「ヒドラ」として過去登場しています。

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映画でもゼウスの息子として登場していましたが、彼は敵か味方か、今後が楽しみですね!

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エジプト神話

天空の猫女神 バスト

《バステトの像》紀元前664-332年

天空の女神で猫の姿をしています。

『ラブ&サンダー』では、神の集会でジェーンとヴァルキリーの斜め下に座っていました。

黒猫の姿で描かれることが多く、映画でも黒猫で、ブラックパンサーの仲間のような見た目で登場していました。

まとめ

文化を知ることで、見え方が違ってきます。

絵画も本当にそうで、どんな人物やシーンが描かれているのか、ひと目見てわかるようになると楽しさが倍増します。

それにしてもギリシャ神話に比べて、北欧神話が描かれている絵画の少なさよ…。


ヴィーナスの片思い―神話の名シーン集

こちらは神話の名シーンをわかりやすく解説した1冊です。

映画やゲーム、マンガなどの元ネタが神話だったりするので、知っていると絵画鑑賞以外でも役に立ちます!