こんにちは!
今回は、ギリシャ神話に登場する愛と美の女神ヴィーナスを解説します。
早速見ていきましょう!
ヴィーナス(アプロディテ、ウェヌス)
サンドロ・ボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》1485年
ギリシャ名:アプロディテ、ローマ名:ウェヌス、英語名:ヴィーナス
アトリビュート:バラ、真珠、つがいの鳩、白鳥、黄金のリンゴ
ヴィーナスは、愛と美、豊穣の女神です。
ヨーロッパの多くの文化圏において「アプロディテ」という言葉には「催淫効果」という意味があるんだとか。
海の泡から生まれた
アレクサンドル・カバネル《ヴィーナスの誕生》1863年
ヴィーナスを知らない人はいないかと思いますが、彼女の驚きの出生については知らない人が多いのではないでしょうか。
天空の神ウラノスは、子供が生まれても、妻の大地の神ガイアのお腹の中に閉じ込めたままにしていました。
それにうんざりしたガイアは、息子クロノスに大鎌を渡し、ウラノスの男性生殖器を切断させました。
するとウラノスの精子が海に落ちて(そのため海には白い泡が立っている)、波に子を授け、ヴィーナス(アプロディテ)が生まれました。
ギリシャ語で「アプロス」が「泡」を意味するのは、このためとする説もあります。
魅惑の魔法の帯
真珠のように海から生まれたヴィーナスは、貝に乗ってキュテラ島に着き、そこからオリュンポスへと連れていかれました。
その美しさに驚嘆した神々は、何とか自分のものにしたくてたまりませんでした。
なかでも最も醜いヘパイストスは、女性が魅惑的になるという魔法の帯を作り、彼女を手に入れようと考えました。
作戦は功を奏し、他の女性に帯を奪われないかと気が気ではないヴィーナスは、彼と結婚しました。
しかし結果的に、ヘパイストスは古代で最も有名な寝取られ夫になってしまいます…。
見せしめ
ティントレット 《ウルカヌスに驚かされるヴィーナスとマルス》1555年頃
ヘパイストスと結婚したヴィーナスでしたが、すぐにマルスと不倫に走りました。
マルスはヘパイストスの弟で、彼とは違って美男で戦闘の神でした。
そんなある日、太陽神ヘリオス(アポロンも太陽神ですが、彼は光の神です。ヘリオスは天体としての太陽をあらわす神で両者は別)は浮気の現場を目にし、ヘパイストスに知らせました。
怒ったヘパイストスは、仕返しに透明な網を作り、ヴィーナスのベッドの上に置き、2人をしとめ、裸でもつれあった姿のまま、オリュンポスの神々の前にさらし者にしました。
神々は彼らを嘲笑し、屈辱感でいっぱいの2人は別れ、それぞれ引きこもってしまったとか。
1番美しいのはだれ?
ピーテル・パウル・ルーベンス《パリスの審判》1532-1635年頃
ある日、オリュンポスで婚姻の宴が開かれました。
そこへ招かれなかった嫌われ者の不和の女神エリスが現れ、「最も美しい女性へ」と書かれた黄金のリンゴをテーブルの上に投げました。
どの女神も我こそはと競い、決着がつかなかったため、とうとうゼウスは羊飼いのパリスに選ばせることにしました。
ヴィーナスが、パリスに絶世の美女の愛を与えることを約束すると、パリスは彼女にリンゴを渡しました。
けれども、パリスが望んだ美女ヘレネは既婚者だったため、彼はヘレネをさらい、トロイア戦争の原因を作ってしまうことに。