アルゴ号の大冒険を超解説!イアソンと魔女メディアの愛憎劇

こんにちは!

今回は、イアソンとアルゴ号の冒険について解説します。

早速見ていきましょう!

イアソンとアルゴ号

ロレンツォ・コスタ《アルゴ号の遠征》1484-1490年

金羊毛をめぐる探検は、トラブル続きで困難に満ち、イアソンは苦渋の決断を迫られたり、栄光か勝利のいずれかを選ばねばなりませんでした。

賢人の食卓

コンスタンティノス・ヴォラナキス《アルゴ号》

目的地コルキスに向かうアルゴ号には、たくさんの冒険が待ち受けていました。

例えば、旅の途中で出会った盲目の年老いたピネウスは、食事のたびに悪臭を放つ怪物ハルピュイア(ハーピイ)に邪魔され、食事ができずにいました。

船乗りたちは、ハルピュイアを追い払い、お礼としてボスポラス海峡の渡り方を教えてもらいました。

というのも当時は、海峡には動く岩があり、渡ろうとする船を挟み撃ちにしていたからです。

しかし、アルゴ号が無事に渡ると、もう動かなくなったそう。

娘が惚れてしまう

ギュスターヴ・モロー《イアソン》1865年

アルゴ号は、ようやくアイエテスの支配するコルキスに到着しました。

アイエテスは、イアソンに金羊毛を渡すつもりなど少しもなかったのですが、承知したふりをして2つの難題を突きつけました。

1つは、青銅のひづめで炎を吐く2頭の牡牛で畑を耕すこと。

もう1つは、畑に種をまき、そこから生えるスパルトイ(ギリシャ語で「まかれた者」の意味)と呼ばれる戦士たちを倒すことでした。

しかしアイエテスは、娘のメディアがイアソンに恋をすることまでは予想していませんでした。

メディアはイアソンに、難題攻略の方法を教えました。

最恐の魔女メディア

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《イアソンとメディア》1907年

魔女メディアは、炎や牡牛のひづめから守ってくれる塗り薬と、スパルトイが仲間内で殺し合うように仕向ける石をくれました。

これさえあれば怖いもの無しです。

イアソンは無事に課題をクリアしました。

アンニーバレ・カラッチ《イアソンとメディア(18枚の中の1枚)》1583~1584年

しかし、腹を立てたアイエテスは金羊毛を渡すことをこばんだため、メディアは竜を眠らせ、イアソンは夜の闇にまぎれて金羊毛を手に入れました。

イアソン、メディア、船乗りたちは島をあとにし、アイエテスは艦隊を仕向けて彼らを追跡しました。

最狂の魔女メディア…

ハーバート=ジェイムズ・ドレイパー《金羊毛》1904年頃

アイエテスによる追跡劇で、メディアのブラックな面が明らかになりました。

彼女は一緒に連れてきた弟を殺し、バラバラに切断して、甲板から海に投げました。

こうすれば、父アイエテスは、息子の遺体を回収するか、追跡し続けるかのどちらかを選ぶ必要があります。

アイエテスは息子をしかるべく弔いたいと、人間らしい選択をしました。

こうしてイアソンたちは無事に帰国しますが、叔父ペリアスが自分のいない間に一族を皆殺しにしてしまったことを知りました。

するとここでもメディアが知恵を働かせて、鍋で魔法の薬を用意し、ペリアスをぐつぐつ煮て殺しました。

女の恨みはコワイ

ウジェーヌ・ドラクロワ《我が子を殺すメディア》1862年

恐るべきメディアに助けを借りて上手く事を運んだイアソンは、メディアとの間に子供にも恵まれました。

しかし10年後、何を血迷ったのか、メディアを捨て、若くてお金持ちの王女のもとに走りました。

メディアは、イアソンへの復讐のために、ためらいもせずに我が子を殺して逃亡しました。

英雄イアソンの最期も残念な終わり方でした。

老朽化したアルゴ号を眺めていたところ、舳先が落ちてきてその下敷きになって落命しました。