木に変身?ダフネを超解説!男を追い払う斬新な方法とは?

こんにちは!

今回は、ギリシャ神話に登場するダフネを解説します。

早速見ていきましょう!

ダフネ

ピエロ・デル・ポッライオーロ《アポロンとダフネ》1470-1480年頃

ダフネは、ギリシャ神話に登場するニンフです。

ダフネはギリシャ語で「月桂樹」という意味です。

欧米では女性の名前として名付けられることもあります(最近見た海外ドラマの主人公の名前もダフネでした)。

ニコラ・プッサン《アポロンとダフネ》1664年

ダフネとアポロンの物語はギリシャ神話の物語の中でも有名で、この物語に由来する芸術作品(オペラ、クラシック、彫刻、絵画など)や風習が数多く存在しています。

アポロンとダフネ

ロバート・ルフェーヴル《アポロンから逃げるダフネ》1810年頃

オウィディウスの『変身物語』にダフネとアポロンの物語が描かれています。

アポロンはゼウスの息子で、芸術と予言の神であり、名人で容姿端麗、スポーツ万能という、ギリシャ神話のなかでもエリート的存在でした。

テオドール・シャセリオー《アポロンとダフネ》1845年

アポロンは恋多き神で、多くの愛を得ましたが、今回ばかりはうまくいきませんでした…。

何があったのかというと…

単なるストーカーではない

ジャン=バティスト・ヴァン・ルー《アポロンとダフネ》1690年代半ば

ある日アポロンが、エロス(キューピッド)の持つ弓を小さいと馬鹿にしました。

フランチェスコ・アルバーニ《アポロンとダフネ》1615-1620年頃

怒ったエロスはアポロンの胸に「恋へと駆り立てる黄金の矢」を射ち込みました。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《アポロンとダフネ》1908年

間の悪いことに、アポロンが恋をしてしまったのは男嫌いで有名なニンフのダフネでした。

さらに、エロスは念入りにダフネの胸に「恋心を消し去る鉛の矢」を射ち込んでおきました。

フランチェスコ・トレヴィザーニ《アポロンとダフネ》17世紀後半

こうして、アポロンが追いかければ追いかけるほど、求愛すればするほど、ダフネは彼を嫌って逃げていきました。

アポロンは単なるストーカーではありません。

アポロンが男性美を具現した理想的外貌の神だったこともあり、エロスが鉛の矢で射抜くといういたずらさえしなければ、ダフネはアポロンの恋を受け入れていたかもしれません…。

彼は彼女への報われない恋に苦しみました。

苦肉の策

ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ《アポロンとダフネ》1755-1760年頃

それでもペネイオス川でとうとう追い詰められたダフネは、アポロンの求愛から逃れるために父である河神ペネイオス(大地の女神ガイア説も)に自分の姿を別の何かに変えるよう願いました。

ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ《アポロンとダフネ》1741年頃

そして願いは聞き届けられ、ダフネは月桂樹に変身しました。

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ《アポロンとダフネ》1622-1625年

大理石は壊れやすい素材ですが、木の枝に変身しつつあるダフネの手は光が透けて見えるほど薄く加工されており、ベルニーニのスゴ技が発揮された作品です。

パオロ・ヴェロネーゼ《アポロンとダフネ》1560-1565年頃

アポロンといえば月桂樹

ラファエロ・サンティ《パルナッソス山》1509-1511年

アポロンはひどく悲しみ、愛の永遠の証として月桂樹の枝と葉から月桂冠を作り、それを永遠に身に着け、月桂樹を自分のシンボルとしました。

月桂冠をかぶったアポロンと月桂樹

アポロンは、学芸の神として、パルナッソスの山で詩や音楽の女神ムーサ(ミューズ)たち9人を司っていました。

そのため、詩歌や音楽など芸術に秀でた者にアポロンのシンボルである月桂冠が与えられるようになりました。

月桂冠にはこんなふうに栄誉ある者という意味がついてまわるようになりました。

しかも、常緑で、薬効もあり、浄化力も備わっています。

それは並ぶ者なき勝者にこそふさわしい特質です。

そこで、月桂冠は勝利の証となり、勝利者の頭上を飾るようになりました。

古くはローマ皇帝、新しくはオリンピック競技の優勝者に月桂冠が与えられるのは、ここからきています。

月桂樹

月桂樹(ローレル)は、スープやカレーを調理するときの香りづけに使う、乾燥した細長い葉のことです。

月桂樹が日本に入ってきたのは1905年なので、さほど古くからあったわけではありません。

お酒好きなら、月桂樹と聞くと日本酒の「月桂冠」を思い浮かべるかもしれません。

このお酒は、その1905年から出始めたそうで、当時は、日本酒だけれど、ずいぶんとハイカラな響きのあるオシャレなお酒だったに違いありません。

ちなみに、日本酒の名前に「月桂冠」を選んだのも、勝利と栄光のシンボルであることが理由だったそう。

小惑星の名前にも

ダフネと名付けられた小惑星があります。

この惑星の衛星は彼女の父で河の神ペネイオスの名がついています。