こんにちは!
今回は、ブリューゲルの絶筆《絞首台の上のかささぎ》について解説します。
早速見ていきましょう!
絞首台の上のかささぎ
ピーテル・ブリューゲル《絞首台の上のかささぎ》1568年
ブリューゲルが死ぬまで手放さず、自分が死んでも妻に「この絵を発表しないように」と伝えていた作品です。
ブリューゲルがこの絵で何を表したかったのかなど、未だに解明されていない部分もある謎多き名画です。
絞首台とかささぎ
処刑台の上にいるかささぎは、日本や中国、韓国などアジアでは縁起の良い鳥とされています。
しかしヨーロッパでは、白と黒という色から「偽善」、「盗み」の象徴、魔女や悪魔の鳥と考えられ、その耳ざわりな鳴き声からも「ゴシップ好きの悪口を言う者」のたとえなど、どれもこれも良い意味はありません。
さらに当時、処刑方法は階級によって違いました。
このような郊外の丘で絞首台に吊るされるのは、一般庶民でした。
身分の高い人々は町中で斬首です。
絞首台の横にある十字架も簡素です。
謎の農民たち
男が絞首台を指差し、鑑賞者の視線を誘導しています。
バグパイプを演奏する男がいます。
彼の陽気な音楽に合わせて、わざわざ高台にある絞首台まで踊りながら登ってきたのかと思うと不思議ですね。
「絞首台の下で踊る」ということわざがあり、処刑された罪人が風に揺られてぶらぶら揺れているのが踊っているよう見えるという意味です。
画面左下には、用を足している男がいます。
これも「絞首台の下で排便」ということわざがあり、どんな罰も恐れないし、むしろあざ笑ってやるという意味です。
水車
水車は、時代が変わっても同じことが続くということを表しています。
どんな絵?
使われていない絞首台の下で、陽気に呑気に踊る農民の姿から、平和を感じとるという見方がひとつ。
もうひとつは、楽しいか楽しくないかは別として、みんなと合わせて、楽しいふりをして踊らないと、
「あいつはみんなとは違う。異端だ!」と告げ口ををされて、ここで処刑されることになるかもしれないという恐怖や狂気を表しているという見方も出来ます。
絞首台が不要な平和な世界になってほしいという願望を込めて描いたのであれば、かささぎは描かないかな〜と思うので、個人的には後者の見方かな〜なんて個人的には思います。