こんにちは！
今回は、フェルメールの《ヴァージナルの前に座る若い女》についてです。
早速見ていきましょう！
ヴァージナルの前に座る若い女
ヨハネス・フェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女》1670-1672年頃
ヴァージナルの演奏を中断して、こちらに顔を向けている女性が描かれています。
フェルメールの音楽を演奏する様子を描いた他の作品では、他の人や物など周囲の状況も描き込まれていますが、この作品は、演奏している女性と鑑賞者との関係性に焦点を当てています。
ピンクと緑
この絵では、こちらからは見えない左上の窓から自然光が部屋の中に差し込み、女性の顔を優しく照らしています。
顔に置いた淡いピンク色の光が頬と鼻の輪郭をはっきりさせ、肌に暖かい艶をもたらしています。
それとは対照的に、影の部分は肌色に緑色の顔料を組み合わせた色合いで塗られています。
こちらをじっと見つめる女性からは、時を超えて目の前にいるかのような印象を受けます。
リボンと真珠の首飾り
女性の髪には、赤いリボンと細い糸に通した真珠が描かれています。
フェルメールは、それぞれの真珠が捉えた光を表現するために、白い絵の具を軽く塗っています。
また、ショールの上に見える白い絵の具の 2 つの点から、女性が真珠のネックレスも付けていることがわかります。
黄色のショールは誰の案？
女性が身に付けているクリーム色の長いスカートは、深く滑らかな折り目を持ち、椅子の側面に沿って描かれています。
滑らかなストロークと緑色の色合いを混ぜた白のハイライトによって、サテンの表面やごわごわとした固い質感を表現しています。
遠近法
作品の中で奥行を正しく描写するために、フェルメールは、ピンホールを使用することで構図内で奥に向かう線を消失点に収束させるという方法を取り入れることも少なくありませんでした。
この絵では、女性の肩の近くにピンホールの痕跡があります。
ヴァージナルのフロントパネルを通る直線が穴の位置に達しているということが、遠近法を取り入れている証拠となっています。
ヴァージナル
女性が演奏しているのは、右寄りに鍵盤が配置された典型的なミュゼラー型のヴァージナルです。
音楽の絵は「恋愛」と結びつけて考えられることが多く、彼女の視線の先には恋人がいるのかもしれません。
シンプルかつ幾何学的な形状の譜面台が置いてあります。
フェルメールは、木に当たる日の光を表現するために、譜面台の土台に沿って太いストロークで白い絵の具を塗っています。
手
絵の中の女性は、そっと伸ばした手をヴァージナルの鍵盤に乗せています。
指を上げて、演奏を中断しているようにも見えます。
ヴァージナルの磨き込まれた前面左側に、手首と手が映り込んでいます。
フェルメールの光を描き出す才能と、画家が光のさまざまな効果を描こうとしていたことがよくわかります。
壁
部屋の左上から差し込む明るい光は、石膏の壁の粗い表面を照らしています。
フェルメールは、高価な群青（ラピスラズリ）の顔料を灰色と白色に混ぜて、冷たい色調を表現しました。
壁の寒々とした色合いや細部まで描かれた描写は、ややぼんやりと描かれた女性の腕や手によって奥行きを感じさせる前景とは対照的なものになっています。
