こんにちは!
今回は、レスピーギ作曲の『ボッティチェッリの3枚の絵』についてです。
早速見ていきましょう!
ボッティチェッリの3枚の絵
『ボッティチェッリの3枚の絵』は、オットリーノ・レスピーギが作曲した管弦楽曲です。
題名の通り、ボッティチェリの名画3枚にインスピレーションを受けて作った作品です。
I. 春
サンドロ・ボッティチェリ《プリマヴェーラ》1480年頃
春の寓意を描いた作品で、愛・平和・繁栄が表されています。
中央にいるのが愛と美の女神ヴィーナス、周りの人物もギリシャ神話に登場する神たちです。
絵の詳しい解説はこちら↓
歌なしの音楽だけで「物語」を伝えるために、元からある有名な曲を所々に引用して、音で状況を説明しています。
まずは最初の鳥の鳴き声のようなトリルは、ヴィヴァルディ作曲『四季』の『春』が元ネタでしょう。
その後に流れるメロディは、中世の吟遊詩人トルバドゥールの歌『A l’entrada del tens clar(明るい季節の到来に)』が引用されています。
この歌は、「明るい季節が到来した、女王も王以外の男性にときめいてしまう…さあみんなで踊ろう」という、春の喜びに浮かれて踊り出す、そんな曲です。
このメロディを挿入することで、中世を連想させ、神秘的な雰囲気をつくり出しています。
II. 東方博士の礼拝
サンドロ・ボッティチェリ《東方三博士の礼拝》1475年頃
東方三博士というのは、イエスが誕生したときに、贈り物を携えてイエスを祝福しにやってきた3人の賢者のことです。
イエス誕生、そして東方からやってきた賢者たちを表すようなエキゾチックな音楽です。
イエスの生誕を祝うクリスマス礼拝で歌われる聖歌『久しく待ちにし主よとく来たりて』のメロディが引用されています。
ラスト近くで、イタリアのクリスマスキャロル『Tu scendi delle stele (あなたは星から降りてくる)』のメロディが挿入されています。
どちらもヨーロッパではクリスマスに流れる定番の曲です。
III. ヴィーナスの誕生
サンドロ・ボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》1485年頃
《ヴィーナスの誕生》というタイトルですが、誕生のシーンが描かれているわけではありません。
海で誕生した愛の女神ヴィーナスが、ホタテ貝に乗っています。
西風の神ゼピュロスが息を吹きかけて、ヴィーナスを岸まで運び、季節の女神ホーラが、ヴィーナスにマントを差し出しているシーンが描かれています。
さざ波とゼピュロスが吹く風を表したかのような音楽です。
音楽が段々と盛り上がり、最高潮に達すると…また冒頭のさざ波のメロディに戻り、これでこの物語は終わり、めでたしめでたし…で幕を下ろします。