世界で一番高価で最も美しい本「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」を超解説!

こんにちは!

今回は世界で一番高価で、最も美しくて豪華な本といわれている『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』についてです!

どんな画家が描いた本なのか、早速見ていきましょう!

ランブール兄弟

ヘルマン・ポール・ヨハンランブール兄弟は、フランドルのミニチュアール画家です。

6人兄弟の中の3人が画家として活動しました。

父親は宮廷の木彫り職人、母親は画家の娘、叔父さんも宮廷画家という、芸術家一家でした。

ベリー公のいとも豪華なる時祷書

フランスの王子ベリー公ジャンは、豪華で贅沢な本の収集者でした。

当時は印刷技術なんてもちろんないので、絵も文字も全て手書きです。

さらに羊一頭からごくわずかしか取れない羊皮紙を使い、顔料(インクの原料)は希少なラピスラズリなど宝石を砕いたものを使用した装飾写本は、ものすごく手間もかかるし、ものすごく高価なものでした。

時祷書という、キリスト教徒が日課として決められた祈りを捧げるために用いた書物の装飾を依頼されたランブール兄弟は、『ベリー公の美しき時祷書』を作ります。

これを大変気に入ったベリー公から「さらにすごいのお願い!」と依頼されます。

それが『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』です。

ただ、制作途中でベリー公もランブール兄弟も亡くなってしまいます。死因は不明です。

なので他の画家が完成させた作品でもあります。

全ページは紹介しきれないので、1〜12月部分のみご紹介します!

世界史で習った記憶がある人もいるはず…?

1月

 

画面上部の半円部には、月の暦や各月の星座が描かれています。

下部には、その季節の労働や領主の娯楽の風景画描かれています。

右の青い服で毛皮の帽子をかぶっているのがベリー公です。

新年のパーティーが描かれています。

2月

 

農村の冬の厳しい生活が描かれています。

3月

 

農民が仕事を始める季節です。

後ろに見えるのはベリー公所有のルジニャン城です。

 

城の右にドラゴンがいますね。

ルジニャン城は水の精メリュジーヌ(上半身は美女+蛇+翼)によって建てられたとされているお城なので、一緒に描かれています。この絵だと完全にドラゴンですが。

メリュジーヌが建てたとされる最初の城は、戦争で破壊されて無くなっているので、ここに描かれているのは跡地に建てた城です。

実在した城ですが、現在はありません。

4月

 

緑鮮やかな春が来ました。

婚約をしたカップルが指輪を交換しています。

後ろに見えるのはこちらもベリー公所有のドーダン城です。

5月

 

仮装行列的な5月の行事の場面が描かれています。

何かというと、森に行って小枝を見つけて、頭や首につけるという謎のイベントです。

おまじない的なやつですね。

女性は緑色の服を着るのがお決まりでした。

6月

 

収穫の時期がきました。

7月

 

同じく収穫の時期です。

羊の毛を刈り取り、小麦を刈り取っています。

8月

 

鷹狩のシーンが描かれています。

後ろでは、農民たちが農作業をしています。

9月

 

ブドウを収穫しています。実りの秋です。

ワインの生産地に建つソミュール城が描かれています。

10月

 

収穫が終わり、来年に備える種まきの時期です。

ルーヴル宮殿が描かれています。後のルーヴル美術館です。

このように、宗教主題と直接関係のない、当時の人々の生活の情景を表している点が画期的で、後の風俗画の先駆けともいえます。

11月

 

棒で木を叩いたり投げたりして、どんぐりを落としています。

そのどんぐりを豚が食べています。

ちなみにこの豚はいい感じに太らせたら、塩漬けにして、厳しい冬の時期を乗り越えるための食料に。

12月

 

猪狩りのシーンが描かれています。

後ろのヴァンセンヌ城はベリー公が生まれた場所です。

まとめ

ランブール兄弟の代表作は『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』
・それは世界で一番高価最も美しい本