こんにちは!
今回は、ミレーの代表作《落穂拾い》を解説します。
早速見ていきましょう!
落穂拾い

《落穂拾い》1857年
一見、農作業に勤しむ農婦を描いた、のどかな風景に見えますが…
貧困の三女神

当時、収穫の終わった畑では、こぼれた落穂は、貧困者のために残しておくものだと考えられていました。
そのことから、彼女たちが貧困層だとわかります。
貧困層というのは、未亡人や孤児、怪我や病気などで働けない人々のことです。

手は赤く荒れていて痛そうです。
聖書の記述?
旧約聖書レビ記に「貧しい者と在留異国人のために、落穂を残しておかなければならない」とあり、カトリック教徒だったミレーは、このことを意識して描いたのでしょう。
顔がわからない
人物の表情ははっきりと描かれていません。
そうすることによって、人種や国籍に関係なく、見た人が感情移入できるようになっています。
赤・青・黄色
彼女たちの帽子をよく見ると…青、赤、黄色で、色彩効果を考えて色を置いていることがよくわかります。
農場で働く人々

農場で働く人々が描かれています。
麦わらが積み上がっていることから豊作だとわかりますね。

馬に乗った農場主らしき人物がいます。
農場の人々の方を明るく、貧困層の彼女たちを暗く描くことによって、豊かさと貧しさを対比させています。
ミレーのすごいところは、貧困層とはいえ、彼女たちを貧弱に描かず、その労働する姿を、むしろどっしりと、大地と一体化したように堂々と描いているところです。
批判
当時、幅1メートルものキャンバスに農民など労働者の絵を描くことはありえないことでした。
そのため、批評家たちからは「絵画を低俗なものにした!」と批判されてしまいます。
さらには、農民の悲惨な生活を訴える政治的メッセージのある絵だと受け止められてしまいます…。(ミレーはそんなつもりはありませんでした)