こんにちは!
今回は、フェルメールの《水差しを持つ女》についてです。
早速見ていきましょう!
水差しを持つ女
ヨハネス・フェルメール《水差しを持つ女》1662年
女性
水差しを持った女性が描かれています。
彼女は、朝の身支度をしているところでしょうか?それとも窓を開けて窓辺の花に水をあげるところでしょうか?
富の象徴
金メッキされた水差し、
真珠のネックレスが入った宝石箱、
テーブルに掛けられたペルシャ製のカーペットは富の象徴です。
しかしながら、本作品に見られるのはフェルメールが奇跡的に捉えたとも言える、ひとときの静けさです。
純潔の象徴
水差しと水盤は、聖母マリアの「純潔」の象徴でもあります。
純白の頭巾も「純潔」を表すモチーフです。
バランス
3つの長方形(窓、テーブル、奥の壁に掛けられた地図)の真ん中に、三角形あるいは円錐のような形があるため、配置にバランスの良さを感じます。
また色は主に、赤、青、黄色といった原色を使用しています。
それゆえに構図、色、そして光という点で均衡と静寂が感じられ、オランダがその歴史の中で最も繁栄していた時代における平和、安定、豊かさに囲まれた家庭内の場面という主題に調和しています。
光あふれる室内
フェルメールは光に関心を抱いていたことがよく知られています。
本作でも、水差しや壁、女性の頭巾など、すべてのモチーフに光が当てられています。
窓にそっとかざした腕に注目すると、後ろから差す光によって、フラットでぼんやりとした影が見て取れます。
このような効果は、制作最後の工程で描かれたと思われます。
また、金属の水盤の側面に映ったテーブルクロスの柄まで描きこんでいます。
「青」の研究
本作は、フェルメールのお気に入りの絵の具ウルトラマリンブルーがたくさん使われています。
この絵の具の原料は宝石ラピスラズリで、とても高価なものでした。
ステンドグラス、スカート、ブラウス、地図、椅子の上の青い布、赤いテーブルクロスに青い花、ジュエリーボックスの青いリボンだけでなく、影や水差しの反射などにもこの絵の具が使われています。
消えた椅子
当初、画面左下には椅子が描かれていましたが、後にフェルメールが塗りつぶしました。
フェルメールは、3 か月間絵を描き続けては中断するという工程を繰り返し、絵の構成を調整して、頻繁にモチーフを削除することもあったようです。
はっきり描かれていたものを消し去り、見る人の心に残る心理的なものだけを絵の中に残しています。
別の画家の作品だと思われていた
本作は、19世紀には、ハブリエル・メツーかピーテル・デ・ホーホの作品だと考えられていました。