こんにちは!
今回は、セザンヌの《カード遊びをする人々》を解説します。
早速見ていきましょう!
5枚の「カード遊びをする人々」
セザンヌの晩年に描かれた5枚の《カード遊びをする人々》を紹介します。
それぞれ絵の大きさや、描かれている人数が違います。
パイプをくゆらせてカード遊びをするプロヴァンスの農民たちを描いています。
バーンズ財団
1890-1892年
この作品が最も大きい作品で、134.6 x 180.3 cmあります。
構成も一番複雑で5人の人物が描かれています。
メトロポリタン美術館
1890-1892年
上のバーンズ財団の絵の半分以上小さいサイズで、65.4 x 81.9 cmです。
人数も1人減って4人が描かれています。
オルセー美術館
1890-1895年
5枚の作品の中で、最も有名なのがこのオルセー美術館バージョンです。
サイズは一番小さく、47.5 x 57 cmです。
1961年には盗難に遭い、犯人の提示した金額を支払い、数ヶ月後には無事戻ってきた作品でもあります。
コートールド・ギャラリー
1892-1896年
60 x 73 cmです。
上のオルセー美術館バージョンと見比べると、持っているカードの枚数が違います。
個人蔵(カタール王室)
1892-1893年
97 × 130 cmです。
2011年にカタール王室がこの作品を、2億5千万ドル〜3億2千万ドルというビックリするような金額で購入しています。
これは高額で売買された絵画ランキング3位です!
ビックリするくらいドラマ性がない
「カード遊びをする人々」という主題自体は、17世紀のオランダとフランスの風俗画でよくあるテーマでした。
居酒屋で酔っぱらった賭博者たちが行う騒々しいカード遊びの場面を描くのがよくあるパターンでしたが、セザンヌは簡素な舞台設定に、仏頂面の商売人を描いています。
17世紀の風俗画ではお決まりの酒や金も描いていなければ、誇張された劇的な瞬間を描いてもいません。
ドラマ性もなく、物語性もありません。
仲間とゲームを楽しんでいるはずが、疎外感を感じる絵です。
こういうところが本当にセザンヌらしいですね。反骨精神って感じで。(笑)