こんにちは!
今回は、シュールで可愛い絵を描くけど、嘘つきで、闇が深そうな画家ルソーについてです。
早速見ていきましょう!
目次
アンリ・ルソー(1844-1910年)
アンリ・ルソー《自画像》1902-1903年
アンリ・ルソーは、フランスの画家です。
フランス西北部ラヴァル市で、ブリキ職人の息子として生まれました。
両親が事業に失敗し、引越しを繰り返します。
16歳のとき、リセ在学中に、声楽とデッサンで賞を受賞しました。
窃盗罪
19歳のとき、弁護士事務所に勤めましたが、そこのお金に手を付け、窃盗罪で禁固1ヶ月…
その後、アンジェの第51歩兵連隊に入隊します。
ほとぼりが冷めるまで、そこで隠れていようっていうやつです。
結婚
24歳のとき、父親が亡くなり、母親の面倒を見るため除隊しパリへ向かいます。
一目惚れした15歳のクレマンスと婚約し、翌年25歳で結婚します。
息子が生まれますが、翌年亡くなってしまいます。
税関
《入市税関》1890年
27歳のとき、パリ市入市税関に勤めます。
パリに入ってくる商品に対する税金を徴収する仕事でした。
上の絵が、ルソーが描いた唯一の税関の絵です。
28歳のとき長女が、30歳のとき次女が生まれますが、2人とも幼くして亡くなっています。
アンデパンダン展
《カーニヴァルの夕べ》1886年
41歳のとき、サロンに初出品しますが、2点とも落選します。
42歳のとき、シニャックに誘われて、審査なしの自由な展覧会、アンデパンダン展に出品します。
43歳のとき、妻クレマンスが亡くなります。
2人の妻の名前をパレットに
《私自身、肖像=風景》1890年
46歳のとき、この絵を描きました。
パレットには亡くなった妻クレマンスと後妻ジョセフィーヌの名前が入っています。
画家一本
49歳のとき、税関の仕事を辞め、画業に専念します。
しかし、相変わらず絵は売れないので、デッサン教室や音楽教室を開きますがうまくいかず…。
そんなルソーに嫌気が差した三女は、叔父の家に行ってしまいます。
故郷に売り付けようとしたら断られた
《眠れるジプシー女》1897年
わずかに歯をみせながら眠る女性が描かれています。
これは今まさに夢を見ている表情ではないかといわれています。
ちなみに大きな素焼きの壺の中には、女性が飲む水が入っていると、ルソー自身が説明しています。
この絵を、故郷ラヴァルに売ろうとしますが、断られてしまいます。
今となっては評価されているルソーの絵ですが、当時の一般的な感覚としては、理解することが難しい絵でした。でしょうね…。
その後この絵は行方不明になりますが、26年後に発見されアメリカのコレクターによって購入されています。
53歳のとき、18歳の次男が亡くなります。
再婚
《ルソー2番目の妻の肖像》1903年
55歳のとき、ジョセフィーヌと再婚しますが、4年後に彼女は亡くなってしまいます。
肩書きだけの…
58歳のとき、美術工芸家協会の講師になります。
その後、美術工芸協会の教授になりました。
と聞くと、すごそうに見えますが、無報酬でした…。
60歳のとき、画材屋の借金を月々返済するようにと、裁判所から命令されます。
ウソばっかり
《飢えたライオン》1905年
ルソーはジャングルを舞台にした絵を多数描いています。
本人が言うには「ナポレオン3世と共にメキシコ従軍したときの思い出を元に描いた」そうですが、実際には南国になんて行っていません。ウソです。
パリの植物園でスケッチしたり、写真や雑誌の挿絵を元に描いています。
《蛇使いの女》1907年
南国繋がりで、ゴーギャン(実際に南国に行った画家)とのこんなエピソードも残っています。
ゴーギャンがルソーに「大統領が夕食会に招いているよ」と嘘をつきます。
ルソーは晩餐会が開催されるエリゼ宮に行きますが、当然入れてもらえず。
そこで、大統領に肩を叩かれて「また次に来てくれ」と言われた、という嘘を周りに話しました。
見栄っ張りだなぁ…。
また逮捕される
63歳のとき、銀行詐欺事件に関わったとして逮捕されるも仮釈放されます。
ルソーって子供っぽい素朴な絵を描くので、純粋で少年みたいな人格をつい想像してしまいがちですが、実際はいろいろと闇が深そうなエピソードが多くてびっくりします。
《フットボールをする人々》1908年
仮釈放のときに描いた絵なので、囚人服のような縞模様が意味深な作品です。
ピカソがルソーのためのパーティーを開く
64歳のとき、ピカソがルソーを称える夕べを、アトリエ「洗濯船」で開催します。
《詩人に霊感を与えるミューズ》1909年
「アンリ・ルソーの夕べ」にも参加していた詩人アポリネールと画家マリー・ローランサンがモデルです。
ルソーは2人の全身の寸法(目と鼻の位置なども)を測り描いたにも関わらず、謎の絵が出来上がっています。才能を感じますね。
絶筆
《夢》1910年
上の作品がルソーの絶筆です。
66歳のとき、足が壊疽に。その後亡くなります。
まとめ
・ルソーは、純粋そうに見えてウソつき