こんにちは!
今回は、フェルメールの《手紙を書く婦人と召使》を解説します。
早速見ていきましょう!
手紙を書く婦人と召使
ヨハネス・フェルメール《手紙を書く婦人と召使》1670年頃
誰宛の手紙?
絵の中の女性が手紙を書いていますが、誰宛に書いているのか長年謎のままでした。
それがなんと、1974年に起きた盗難事件後の修復がきっかけで判明しました。
現在は、絵の中のヒントを読み解いていくと、彼女が誰宛に手紙を書いているか推測することができます。
盗難事件
1974年、アイルランドのダブリン近郊の邸宅からこの絵を含む19点の絵画が盗まれました。
事件から1週間後、犯人グループは逮捕され、絵も全て戻ってきましたが、ところどころ絵の具が剥がれ、傷んでいました。
早急に修復作業が行われ、その際に、絵の一部が元の絵とは違う色に上から塗りつぶされていたことが判明しました。
その絵の具を取り除くと床の上にあるものが浮かび上がってきました。
修復により解釈が変わった絵
くしゃくしゃの手紙や棒状の封ろうは元からありましたが、その横の赤い点は、修復前はありませんでした。
これが何かというと、手紙を封印するときに使う「封ろう」です。
この発見によって、床の手紙は、この女性が書き損じた手紙ではなくて、誰かが彼女宛に送った手紙だとわかります。
手紙を読んで、クシャッ、床にポイ…気に入らなかったのか、びっくりしたのか、自分の思っていた展開とあまりにも違ったのか…
では、この手紙を差し出した人物は誰なのかどう読み解くのかというと、彼女の横にいる召使から推測することができます。
当時召使は、思うように外出ができない女性に代わって手紙のやりとりをしていたことから「密通」を意味することがあります。
そのため、愛人からの手紙を読んで、動揺して、急いで返事を書いているシーンを描いていると推測することができます。
壁の絵
壁に飾られている絵は、「モーセの発見」という、ナイル川に捨てられた幼児モーセが発見された場面を描いたものです。
幼児の発見という主題から、「希望」を表していると解釈することもできます。
逆に子捨てという内容から、「秘密の恋愛関係」を表していると考えることもできます。
ちなみにこの絵は、フェルメールの《天文学者》にも描かれています。
パン代に渡した絵
フェルメールは生前、本作を売却せず所有していました。
しかしフェルメールの死後、ツケで買ったパンの代金を支払うために、妻がデルフトのパン屋に本作と《ギターを弾く女》を渡しました。