リゴー「ルイ14世の肖像」を超解説!多忙な王の肖像画どうやって描いたの?

こんにちは!

今回は、リゴーの《ルイ14世の肖像》についてです。

早速見ていきましょう!

ルイ14世の肖像

イアサント・リゴー《ルイ14世の肖像》1701年

ヴェルサイユ宮殿をつくった王

17世紀フランス、ルイ14世によってヴェルサイユ宮殿が建設され、その玉座の間には、上の絵が飾られていました。

描かれた当時、「太陽王」と呼ばれた王は、すでに63歳でしたが、その堂々たる姿は威厳に満ちあふれています

この肖像画はルイ14世が留守のときも威信を示し続け、肖像画に背を向けることさえ許されなかったといわれています。

1枚の絵が、国王の権力そのものでした。

描いたのは、宮廷画家リゴーです。

彼はいかにして、歴史に残る国王の肖像画を描いたのでしょうか?

顔だけ後で縫い付けた?!

じつは、この肖像画は2.77メートルもあります。

大きく描くことで王の威厳を示していますが、それだけではありません。

彼は、杖、王冠などを描くことで、王の権威を目に見える形で示しました。

そのほかにも、さまざまな工夫をして、偉大な国王としてのルイ14世の肖像画を描きましたが、リゴーはその制作過程で、大きな問題にぶち当たりました。

なにしろルイ14世は非常に忙しく、満足にモデルになってくれるほどの時間がありませんでした。

悩んだ末、リゴーはある方法を思いつきます。

リゴーは、ルイ14世が出かける先々に小さなキャンバスを持ち運び、顔だけ描いておいて、後で縫い付けていました。

彼は大小2つのキャンバスを合体することで、1枚の肖像画を作り上げました。

…ということで、顔の部分を見ると、うっすら切れ目があるらしいのですが、私にはどこにあるのかわかりませんでした…。

舞台のように演出

円柱と赤いビロードの天幕を背景に描いて、まるで舞台装置のようにし、真ん中に立つ王を主人公のように演出しています。

国王の権威

杖、王冠、正義の手(法の執行者の象徴)を描くことで、国王の権威を視覚化しています。

低身長を巧みに隠す

偉大な王のイメージを守るために、リゴーは、高さ15センチあるかつらをかぶり、ヒールが11センチもある靴を履いた王の姿を描きました。

人前に出るときは、王はいつも同様の格好をしていたそう。

恐怖の白テン高級マント

滑らかで思わず触りたくなるような毛皮のマント。

表には王の存在感を示すため、王家のシンボル・白百合の紋章が入っています。

そして裏には、ダルメシアンのような白地に黒い点があります。

この黒い点、何かというと、白テンの尻尾です…。

黒い点の数を数えれば、何匹の白テンが犠牲になったのかがわかるという……

白テンのコートについてはこちら↓

王族のマントの毛皮の正体は何?白地に黒の点?意外な正体とは?超解説!

2021.09.15

脚線美

王はバレエを習っていたため、バレエで鍛えた若々しい脚が強調して描かれています。

何枚も複製された

イアサント・リゴー《ルイ14世の肖像》1701-1702年頃

現在は上の絵がヴェルサイユ宮殿に飾られています。

イアサント・リゴー《ルイ14世の肖像》1701年以降

イアサント・リゴー《ルイ14世の肖像》1701年頃