友人の妻に思いを寄せる?ロセッティ「プロセルピナ」を超解説!

こんにちは!

今回は、ロセッティのプロセルピナを解説します。

早速見ていきましょう!

プロセルピナ

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《プロセルピナ》1874年

春の女神プロセルピナ

ギリシャ神話の春の女神プロセルピナ(ペルセポネ)は、主神ゼウスと豊穣の神デメテルの娘です。

ある日彼女は、野の花を摘んでいたところ行方不明となります。

母デメテルが半狂乱で捜しまわり、冥界の王プルート(ハデス)に誘拐され、死の世界にいるということがわかりました。

嘆き悲しんだデメテルは、神殿に引きこもってしまいます。

豊穣の女神が姿を隠したことによって、地上は飢餓と荒廃に覆われ、困ったゼウスは神の使いヘルメスを冥界へ派遣します。

しかし、飢えと渇きに食える死んでいたプロセルピナは、冥界の食べ物(ザクロ)を食べてしまったため、プルートは彼女は自分の花嫁だと主張しました。

そこで折衷案として、1年の3分の2地上でデメテルと過ごし、残りの3分の1を夫プルートの下で冥界の王妃として過ごすことになります。

これは、世界にはどうして「春夏秋冬」という季節があるのかの説明でもありました。

ソネット

 

ソネットには、「不幸なプロセルピナはザクロを食べてしまったため、冥界から出ることができず悲嘆していたところ、宮殿の扉が一瞬開いて明るい外光が壁にうつり、外の自由な世界を思い出させた」というようなことが書いてあります。

モデルは友人の妻

モデルは、友人ウィリアム・モリスの妻ジェーンでした。

モリスと結婚する前、彼女が18歳のときに、ロセッティはオックスフォードの芝居小屋で彼女と出会い、モデルになって欲しいと声をかけ、それ以降彼のモデルになりました。

ジェーンに惹かれたロセッティでしたが、婚約者がいたため、動きが取れないでいるうちに、彼女は19歳のとき、当時すでに大成功していたデザイナーのモリスと結婚してしまいます。

モリスは彼女を教育し、フランス語やイタリア語を習得し、ピアノを弾き、上流階級のマナーや発音をマスターしました。

ロセッティも婚約者と結婚しましたが、(ロセッティの浮気癖から)妻は自ら命を絶ってしまいます。

妻の死後、ジェーンにモデルを依頼し描いたのがこの作品です。

この作品は、プルートとプロセルピナにモリスとジェーンを重ねて描いていると考えられています。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《プロセルピナ》1882年