マンテーニャ「死せるキリスト」を超解説!短縮法で描いた変わったキリストの姿とは?

こんにちは!

今回は、マンテーニャの《死せるキリスト》を解説します。

早速見ていきましょう!

死せるキリスト

アンドレア・マンテーニャ《死せるキリスト》1483年

マンテーニャが53歳の時に描いた絵です。

画家の死後アトリエで息子が見つけ、借金を支払うために売り払われた作品です。

横たわるイエスの遺体の側で、聖母マリアとイエスの弟子の聖ヨハネが涙を流して悲しんでいます。

イエス

 

十字架から降ろされたイエスの遺体を、足の方から見て描くという独創的な構図で表現しています。

 

釘を打たれた跡が残るイエスの手足は、めくれあがった皮膚まで生々しく描かれています。

 

足の裏を見せることによって、釘が貫通してできた傷があらわになり、イエスが受けた磔刑のむごさが強調されています。

立っている人や横になっている人を、頭部や足元から見ると、実際よりも身体が短く見えます。

その短縮した形を、平面にそのまま描く、「短縮法」という新しい画法を用いてこの作品を描きました。

マンテーニャは、遠近法の一種である「短縮法」を研究し、自身の作品にいかしています。

さらに、マンテーニャは遠近法や解剖学だけでなく、古代彫刻にも興味を持ち、研究を重ねていたことから、この絵でも、鋭い線で描かれたイエスの体は、大理石でできた古代の彫刻を思わせます。

聖母マリアと聖ヨハネ

 

聖母マリアと聖ヨハネは、静かに眠るイエスとは対照的に、涙を流して悲しんでいます。

この部分をアップにすると、もう1人後ろにいることに気づくかと思いますが、この人物はマグダラのマリアです。