もしかしたら描いた絵がひとつも残っていないかもしれない画家ロベルト・カンピン

こんにちは!

今回は、有名だけど、描いた絵が一枚も残っていないかもしれないという衝撃的な画家の話です!

どういうことなのか早速見ていきましょう!

ロベルト・カンピン(1375年-1444年)

ロベルト・カンピンはフランドルの画家です。

ヤン・ファン・エイクと同じように、油彩を使用した最初期の画家です。

画家としては大成功しましたが、反乱に巻き込まれたり、浮気して投獄されています。意外と画家は投獄される人多いイメージ。(笑)

カンピンは、自分の絵にサインを入れていなかったこともあり、絶対にこの絵はカンピンが描いた!というものが1枚も無いという珍しい画家でもあります。

代表作《メロードの祭壇画》

ロベルト・カンピンの工房《メロードの祭壇画》1427-1432年頃

この絵がカンピンの代表作です!が、これすらカンピンが描いた絵の複製画ではないかと言われている作品でもあります。

メトロポリタン美術館所蔵で、HPでこの絵を確認すると「ロベルト・カンピンの工房」作となっていました。

工房作というのは簡単にいうと「基本カンピンは描いていない」ということです。

メインの人物だけ描いて、背景は工房の弟子が描いたり、場合によっては出来上がった絵に自分のサインだけしている場合もあります。

そういうのを見極める専門家の人はすごいな〜って尊敬。

どこがすごいの?

この絵を見て、どこがすごいかわかりますか?

なんでこの絵が、いろんな美術の本に載っている、定番の絵なのでしょうか?

答えは…

舞台が生活感のある普通の家だから、です。

庶民の家っぽいのに、ちゃんと置いてあるものには意味があるっていうのがポイントです。

中央:受胎告知

 

真ん中の絵は「受胎告知」という場面なのですが、今まではこんな感じで、舞台は教会で、非日常的な描き方をされるものでした。

それがこの絵だと、一般家庭のおうちへ遊びに来た人の絵みたいになっています。これが画期的だったんです。

日常的な描き方をすることによって、鑑賞者が「受胎告知」という場面をより身近に感じられるようになっています。

イスに座らないマリア

イスあるのになんで座ってないんだろ?って思いません?

これは謙遜を表しています。

さらに、マリアの服、変に白く光ってますよね?

これはを表していて、人類の希望の星!的な意味があるとかないとか…

個人的には懐妊するよ的な光のアピールかと思いました。

飛んできたキリスト

 

天使ガブリエルの上、窓から十字架を持ったキリストがマリア目がけて飛んできています。(基本はで描かれることが多いですが。)

シュールですが、これが描かれることで、マリアがキリストを妊娠するんだな、と絵で理解できるようになっています。

テーブルの上

百合の花

テーブルにある百合の花はマリアの純潔を表すモチーフであり、ガブリエルの持ち物でもあります。

「受胎告知」の場面ではほとんどの絵に百合が描かれています。

この花瓶、よく見ると何か文字が書いてあるのですが「カンピン」とサインを入れているのでは?と言われています。

ちなみに後ろの白い布も百合と同じく純潔を表しています。白いので。

1本だけあるろうそく

細長いろうそくですが、火が今消えたばかりな感じありますよね?

これは今までの時代はこの瞬間で終わり、新しい時代が始まるよ!という意味です。

 

マリアの上にもろうそくがあり、神降臨で、この後ここに火が灯るよ〜ということを表しています。

テーブル手前の本は聖書です。

紙がふにゃっとしてヨレている感じが、よくこの本を読んでいるんだな〜感があり、それが描かれていることにびっくりします。描写が細かい…

下の緑色のベルベットのは、この聖書を入れておく袋です。

余談ですが、こういう形のバッグ今ちょっと流行ってますよね…こんな昔からあったのかと思うと面白い。

この聖書もろうそくと同じく、机にあるさっきまで読んでいたのが『旧約聖書(キリストより前の神との契約)』、今読んでいるのが『新約聖書(キリストの話)』と解釈することもできます。

右パネル:夫こと聖ヨセフ

 

毎回びっくりしますが、美しいマリアの夫はヨセフおじいちゃんです。(神が決めました)

受胎告知前に、マリアとヨセフが一緒に暮らしている描写は珍しいです。

ねずみ捕り

 

ねずみ捕りが窓の外に置いてあります。

これは、悪魔除け的な意味です。シュール。(笑)

 

ヨセフの机の上にもねずみ捕りがありますが、ヨセフが今作っているのはどうもワイン製造機的なものらしいです。

ワインはキリストの血を表すものでもあります。

左パネル:注文者

 

この人たちは、この絵の注文者です。

現代でいうところの「有名人と一緒に写真撮りたいな〜」です。

当時は写真なんか無いので(そしてマリアたちも架空の人物なので…)、絵の中に一緒に描いてもらっていました。

宗教画に注文者が一緒に描かれるケースは結構あります。

見つけ方は、端の方で手を合わせている人です。

まとめ

カンピン油彩画を描いた初期の画家
・《メロードの祭壇画》はちょっと俗っぽい宗教画