背中フェチ?アングル「グランド・オダリスク」を解説!

こんにちは!

今回は、アングルの《グランド・オダリスク》を解説します。

早速見ていきましょう!

グランド・オダリスク

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《グランド・オダリスク》1814年

ナポレオン1世の妹でナポリ王妃のカロリーヌ・ボナパルトから依頼を受け、ローマ滞在中に制作した作品です。

しかし政権が変わり、この絵は画家の手元に残りました。

そこでイタリア留学の成果として、パリでこの絵を公開しますが、バッシングを受けることに…。

オダリスクってなに?

「オダリスク」というのは、トルコのハーレムの女性のことです。

孔雀の羽やターバンなど、当時の東方趣味を反映させたものを身に付けています。

19世紀のフランスでは、オリエンタリスム(東方趣味)が大流行していました。

元ネタ

金星の眠り

ジョルジョーネ《眠れるヴィーナス》1508-1510年頃

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ウルビーノのヴィーナス》1538年

これらのような「横たわる裸の美女」という伝統的な構図を流用しつつも、

ジャック=ルイ・ダヴィッド《レカミエ夫人》1800年

横たわって肩越しに振り返る人物のポーズを描いたこの絵を元に描いたのではといわれています。

ちなみに上の絵を描いたダヴィッドは、アングルの師匠です。

女性の顔は、大好きなラファエロ風に描いています。

背中が長すぎ

当時から「椎骨が2つか3つ多すぎる」と言われていましたが、確かに背中が長いですよね。

写真では表現できないような、極端に大きくねじ曲げたうなじと引き伸ばした背中を描いています。

でも、不自然さを感じさせないところが、さすが巨匠。

解剖学に精通していたからこそ、バランスを壊さずに描けているんです。

基礎がわかっているからこそ、遊びができるってやつですね。

肌のなめらかさ

薄く溶いた絵の具をのように塗り重ねていく古典技法で描くことで、下の色や図柄が透けて奥行きを出し、きめ細かい透明感のある肌質を表現することができています。

酷評

アングルが39歳のとき、サロンに出品しますが、「胴が長すぎるし、腕も細すぎだし、筋肉も骨もない」と酷評されてしまいます。

当時の批評家たちは、アングルが誤ってこんな伸びた人物の絵を描いたのだと思っていました。

もちろん現在では、残された習作を見ると、背中と腕の線が長くなるよう線を引き直していることから、故意にゆがめて描いていたことがわかっています。

アングルのこの歪んだ空間表現は、ピカソやマティスなど、後世の画家に大きな影響を与えました。