こんにちは!
今回は、マグリットの「イメージの裏切り」を解説します。
早速見ていきましょう!
イメージの裏切り(これはパイプではない)
マグリットが30歳のときに描いた作品です。
言葉とイメージと物
ルネ・マグリット《イメージの裏切り》1948年
パイプの絵の下にはフランス語で「Ceci n’est pas une pipe(これはパイプではない)」と書いてあります。
その通り、これはパイプの絵であって実際に吸うことはできません。
この作品は、見る者に対して何が「実際」であり、何が「表現」であるか、またそれらがどのように結びついているのか、という問いを投げかけています。
画像は、実際にはパイプではなく、パイプの「イメージ」です。
そのため、「これはパイプではない」は文字通りに解釈すれば真実です。
ルネ・マグリット《曲も言葉も》1964年
しかし、私たちは絵を見てパイプを「認識」するため、視覚的な「真実」と認知的な「真実」の間に生じる認識の齟齬が、この作品の中心的なテーマとなっています。
この作品は、「物」と「物のイメージ」と「物の名前」の間の結びつきは恣意的なものであり互いに切り離すことができるということ、そしてこの3つの要素が新たな関係を結んだときにに生まれる詩的な効果を表しています。
マグリットはパイプの絵をたくさん描いています↓
元ネタ
「これはパイプではない」という言葉はディドロの短編「これは作り話 (コント)ではない」が元ネタでは?といわれています。
またパイプの絵にはル・コルビュジエの著作『建築をめざして』などに使われたパイプの図(最後らへんに載っていました)、さらにはブリュッセルのパイプ店の看板からの影響が指摘されています。