こんにちは!
今回は、ルノワールの描いた有名なダンスシリーズ3作品をご紹介します!
同じ主題で同じ時期に、本命と愛人を絵に描くなんてルノワールの神経疑っちゃいますが、これでも、いろいろ破綻しがちな有名画家の中では愛妻家で、家庭を大事にした方の画家なんです。
早速見ていきましょう!
《ブージヴァルのダンス》
ピエール=オーギュスト・ルノワール《ブージヴァルのダンス》1883年
舞台はパリ郊外セーヌ河畔の行楽池ブージヴァルです。
モデルは、ルノワールの愛人兼モデルの画家シュザンヌ・ヴァラドンと友人ポール=オーギュスト・ロートです。
当代一の美女と言われていたシュザンヌとは14歳のときに出会い、18歳のときにこの絵のモデルを務めています。
彼女の母親はお針子で、シュザンヌはサーカスのぶらんこ乗りでしたが、負傷したため画家のモデルになっていました。
そしてドガの強い勧めもあり、彼女自身も画家の道を目指した結果、見事に画家として大成することになります。
シュザンヌは画家ユトリロの母ですが、美人で愛人が複数人いたため、父親がわかっていません。本人はわかっていたかもしれませんが。
シュザンヌが、本作のモデルを務めた翌年に、ユトリロを私生児として出産したことから、ルノワールが父親という疑惑も…。
地面には、男女を対比させるかのように、青紫のスミレの花束と、タバコの吸い殻や燃え尽きたマッチ棒が落ちています。
おしゃれなドラマのワンシーンみたい〜!
《都会のダンス》
ピエール=オーギュスト・ルノワール《都会のダンス》1883年
舞台はパリ、2人の姿からフォーマルな場面だとわかります。
こちらのモデルも同じくシュザンヌ・ヴァラドンとポール=オーギュスト・ロートです。
髪をアップにして、背中の開いたドレスを着ているので、肌の白さが際立っています。
シルク・タフタのイブニングドレスに、バッスルというヒップラインを美しく見せる腰当を付けています。おしゃれ。
色数の少なさや、ドレスの光沢と豪華なひだの描写、シュザンヌの憂いを帯びた顔から、洗練されたクールな雰囲気のある作品です。
《田舎のダンス》
ピエール=オーギュスト・ルノワール《田舎のダンス》1883年
こちらも舞台はブージヴァルです。
モデルは、ルノワールの後の妻となるアリーヌ・シャリゴとポール=オーギュスト・ロートです。
《都会のダンス》の上流階級っぽさとは反対に、《田舎のダンス》は庶民的なにぎやかさを感じます。
アリーヌも当時流行したバッスルを付けていますが、シュザンヌのような洗練された雰囲気はありません。
なぜかというと、ドレスが木綿だからです。コットンの晴れ着です。田舎娘感。
赤や黄色が使われていて明るく、ふくよかな未来の奥さんはにこやかで、陽気な雰囲気の作品です。
男性の被っていた帽子が落ちています。女性に夢中で帽子はもうどうでもいいと。(笑)
3点とも男性は暗めの服を着ていて、淡い色のドレスの女性を引き立てています。
3点ともシュザンヌの予定だった
実はこの絵、元々はシュザンヌで描くつもりでした。
アトリエでいちゃつくルノワールとシュザンヌの元に、アリーヌが現れます。
アリーヌはシュザンヌをほうきで殴ったそう。
シュザンヌをモデルに使うことをアリーヌが怒りまくったため、《田舎のダンス》のモデルはアリーヌになりました。
素朴な肝っ玉母さんタイプのアリーヌと、都会の奔放な女シュザンヌ、この三角関係に悩んだルノワールが最終的に妻に選んだのは、アリーヌでした。
まとめ
ルノワールはこの絵を描く2年前にローマ旅行へ行きました。
そこで鑑賞したラファエロの作品に影響を受けて、これらの絵画を制作しています。
なので、印象!印象を描くんだ!!という印象派のぼやっとした絵、というよりかは、女性を美しく描くことに重点を置いた作品になっています。なのでぼやっとしていません。
《都会のダンス》と《田舎のダンス》は対になっているので、オルセー美術館でこんな感じで並べて展示してありました。
ほぼ等身大の作品です。
ステキすぎたなぁ…何度見ても大好きな作品です。