芸術の女神ミューズを超解説!9人姉妹のムーサ

こんにちは!

今回は、ギリシャ神話に登場する9つの芸術の女神ミューズを解説します。

早速見ていきましょう!

ミューズ(ムーサ、ムサ)

サミュエル・ウッドフォード《パルナッソス山にあるアポロンとムーサたち(ラファエロの模写)》1804年

ギリシャ名:ムーサ、ローマ名:ムサ、英語名:ミューズ

アトリビュート:それぞれにありますが、絵に描かれるときは適当なので当てになりません…笑

9つの芸術の女神で、9人の姉妹は、至高の才能や能力のシンボルであり、人間にそうした才能を吹き込んでいました。

彼女たちの父親は、最高神ゼウスです。

クロード・ロラン《ヘリコン山のアポロとムーサたち(パルナッソス)》1680年

不死の美しい処女ミューズたちは、よく輪になって踊る姿で描かれています。

ミューズは、ミュージアムやミュージックの語源にもなっています。

現在では、ミューズと言えば、アーティストにインスピレーションを吹き込む存在です。

才能を吹き込む

ギュルターヴ・モロー《アポロンと9人のムーサ》1856年

ゼウスと記憶の女神ムネモシュネ(「メモリー」の語源)の間に生まれた9人の姉妹がミューズでした。

娘たちは、常に芸術の神アポロンと行動を共にしました。

ヘリコン山やパルナッソス山に住み、人間に会うごとに才能を授けました。

ミューズと出会うだけで大芸術家になれるなんて、彼女たちに会えた人はラッキーすぎるな…。

ラファエロ・サンティ《パルナッソス山》1509-1511年

上の絵では、アポロンと9人のムーサたち、そしてその両脇には、ムーサたちにインスピレーションを授けられ、誉れ高い作品を創作した優れた芸術家たちが描かれています。

ペトラルカ、サッフォー、ダンテ、ホメロス、ホラティウス、オウィディウスといった18人のそうそうたる詩人、著述家たちが勢ぞろいしています。

月桂樹はこの場面の背景に繁っているだけでなく、冠としてアポロンと詩人たちの頭に載っています。

彼らは、栄光の証としてアポロから月桂冠を授けられています。

どうして月桂樹なのかというのは、この切なくもちょっと笑ってしまうようなこの物語が関係しています↓

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2021.12.27

9姉妹

ラファエロ・サンティ《パルナッソス山》一部 1509-1511年

天文学の女神ウラニア

ウスタシュ・ル・シュウール《ウラニア》1652-1655年

「天空」を意味し、天空の神ウラノスを連想させる名前です。

天文学を司ります。

アトリビュート:杖・渾天儀・コンパス

踊りと歌の女神テルプシコラ

ウスタシュ・ル・シュウール《テルプシコラ》1652-1655年

「快い(テルペオ)ダンス(コロス)」を意味し、ダンスを司ります。

アトリビュート:竪琴

叙事詩の女神カリオペ

ウスタシュ・ル・シュウール《カリオペ》1652-1655年

「美声」の名を持つ弁舌の女神で、ホメロスにインスピレーションを与えました。

大変な美声を持つオルペウスの母です。

アトリビュート:書板と鉄筆

歴史の女神クレイオ

ピエール・ミニャール《クレイオ》1689年

クレイオは「祝福する」という意味です。

「有名(セレブリティ)」の語源で、歴史、つまり記念され記録されるのにふさわしい出来事を司る、創造的発想の女神です。

アトリビュート:月桂冠、トランペット、書物、巻物または巻物入れ

音楽と叙事詩の女神エウテルペ

ウスタシュ・ル・シュウール《クレイオー、エウテルペ、タレイア》1652-1655年

テルぺは「快い」(テルプシコラの「快いダンス」と同じ)、エウは「とても」を意味し、音楽を司ります。

アトリビュート:笛

喜劇の女神タレイア

「生き生きとした、喜びに満ちた」を意味し、喜劇を司ります。

アトリビュート:喜劇用の仮面・蔦の冠・羊飼いの杖

悲劇の女神メルポメネ

ウスタシュ・ル・シュウール《メルポメネ、エラト、ポリュムニア》1652-1655年

「メルポ」は「歌う」を意味しており、悲劇の女神です。

古代初期の悲劇は、叙情詩の形式でした。

こうした歌はディテュランボスと呼ばれ、ここから派生したフランス語の「ディティランビック」という語は「賛歌を歌う者」を意味しています。

アトリビュート:悲劇用の仮面・葡萄の冠・悲劇の靴(悲劇で着用された高くて厚底のブーツ)

抒情詩と恋愛詩の女神エラト

哀歌の女神で、エロティックな詩も司っています。

アトリビュート:竪琴

英雄讃歌の女神ポリュヒュムニア

「いくつもの賛歌」を意味し、雄弁を司ります。

アトリビュート:特になし

ミュージアムの由来

ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》1884-1889年

「ミュージアム」という言葉は、芸術を司るミューズ(ムーサ)に捧げられた神殿や場所「ムセイオン」に由来します。

ミューズをまつるムセイオン第1号は、エジプトのアレクサンドリア(アレクサンドリア図書館)にありました。

ミューズはインスピレーションを吹き込んでこれる存在で、「ミュージアム」も元来は詩人や知識人のための仕事場でした。