こんにちは!
今回は、マグリットの妻ジョルジェットを解説します。
早速見ていきましょう!
ジョルジェット・ベルジェ(1901-1986年)
1922年撮影 結婚した頃のジョルジェットとマグリット
マグリットについてはこちら↓
お祭りのメリーゴーランド
ジョルジェット・ベルジェは、ベルギーのシャルルロワで生まれました。
マグリットは15歳のとき、この町に引っ越してきました。
このときジョルジェットは12歳でした。
シャルルロワ毎年恒例のお祭りで2人は出会い、メリーゴーランドに乗りました。
その後、2人の仲は深まっていきました。
しかし残酷なことに出会いから1年後、第一次世界大戦が勃発し、マグリット一家はシャトレへ移り、2人の関係も途切れてしまいます。
偶然の再会
ルネ・マグリット《ジョルジェットの肖像》1921年
離ればなれになった2人は、なんと6年後(7年後とも)にブリュッセルの植物園で偶然再会しました。
このときマグリットは22歳の画学生、19歳のジョルジェットは画材店員としてもう何年も働いていました。
ルネ・マグリット《ピアノを弾くジョルジェット》1923年
ジョルジェットが働いていた画材屋は家族経営の店「ラ・メゾン・ベルジェ」で、マグリットはここで絵の具を購入していました。
またジョルジェットは、姉妹でブリュッセルの芸術家協同組合で働いていました。
ルネ・マグリット《メタファー》1923年
マグリットが有名になって稼げるようになるまでは、ジョルジェットの給料が主な収入でした。
この運命の再開から2年後に2人結婚しました。
2人は、マグリットが亡くなる1967年まで、45年にわたって添い遂げることになります。
ルネ・マグリット《横たわる裸婦》1923年
ジョルジェット自身がモデルは自分だと証言している絵です。
ルネ・マグリット《ビルボケのあるジョルジェットの肖像》1926年
油彩画ですが、ジョルジェットの肖像画部分だけ鉛筆で描かれています。
額の後ろにビルボケ(けん玉)がありますが、なぜか隠れているはずの部分が、肖像画の中に登場しています。
愛妻家
ルネ・マグリット《無謀な企て》1928年
エピソードのないことがエピソードの画家と言われるほど、これといったエピソードが残っていないマグリットですが、そんな彼が妻を大切にしていたことがわかるエピソードがあります。
この出来事によって、シュルレアリスムの創始者だったブルトンを避けるようになりました。
マグリット31歳の12月、パリでシュルレアリスムの仲間のパーティーがありました。
夫婦そろって出席し、ジョルジェットは祖母の形見の金のロザリオをつけていました。
そんな彼女を見たブルトンが「この中に嫌悪すべきものを身に付けている人がいる」と言い、彼女にロザリオを外すように忠告しました。
というのも、シュルレアリストというのは「既存の価値観からの解放」を目指していたこともあり、宗教なんて真っ先に否定したいもののひとつでした。
ジョルジェットは「人の命令で外すようなことはしません」と拒否、マグリットはすかさず彼女に近寄り、彼女の手を取って会場を去りました。
マグリット自身はシュルレアリストなので、宗教否定派で教会のミサにも出席したことはありませんでしたが、ジョルジェットにそれを要求することはありませんでした。
そのままのジョルジェットを愛し、尊重し、いつも自分の側にいてくれることだけを彼女に望んでいたそう。すてき…。
ルネ・マグリット《横たわる裸婦》1928年
ルネ・マグリット《永遠の明証》1930年
ルネ・マグリット《ジョルジェット》1934年
ルネ・マグリット《黒魔術》1934年
ルネ・マグリット《ジョルジェット》1935年
石組みの壁には、上から卵、木の葉、ジョルジェットの顔が2つ、羽根、鍵、封筒、革手袋がコラージュのように並べられています。
これらのモチーフは、マグリットの作品によく出てくるものたちです。
W不倫(マグリット大後悔)
「ファントム・オブ・シュルレアリスム」展 トラファルガー広場のシーラ・レッグ 1936年
しかし、マグリットが38歳のとき、シュルレアリスムのパフォーマンス・アーティストだった25歳のシーラ・レッグに一目惚れし、不倫関係に…。
マグリットは、友人のポール・コリネにジョルジェットが寂しがらないように相手をしてほしいとお願いしたところ、なんと2人も恋愛関係になってしまいました。
W不倫です。
ジョルジェットはマグリットに離婚を申し出ますが、マグリットは離婚したくありません。
なんとか関係を修復しようと努力し、このW不倫騒動から4年ほど経って2人は和解しました。
ルネ・マグリット《ジョルジェット》1937年
ルネ・マグリット《万華鏡》1938-1939年
ルネ・マグリット《不朽の者》1940年
ルネ・マグリット《ジョルジェット・マグリットの肖像》
ルネ・マグリット《立っている裸婦(予想外の誘惑)》1942年
ルネ・マグリット《黒魔術》1942年
ルネ・マグリット《黒魔術》1945年
ジョルジェットは、マグリットの死から20年後に亡くなり、今も彼の横で眠っています。
ルネ・マグリット《創意工夫》1945年
ルネ・マグリット《黒魔術》1946年
ルネ・マグリット《黒魔術》1948年
ルネ・マグリット《美しい船》
ルネ・マグリット《魅せられた領域Ⅱ》1953年
ルネ・マグリット《魅せられた領域Ⅵ》1953年