こんにちは!
今回は、マグリットの面白い絵《習慣の力》を解説します。
早速見ていきましょう!
習慣の力
エルンストの家にあった絵
「This is not an apple(これはリンゴではありません)」と書き込まれたこのリンゴの絵は、画家マックス・エルンストのパリの家のダイニングルームに飾られていた作品でした。
マグリットとエルンストは他の芸術家たちがするように作品を交換していました。
また、マグリットが絵の中の言葉を英語で書くことは非常に珍しいことでした(ほとんどがフランス語)。
絵に描きこむ
なんとエルンストは、リンゴを鳥かごに変身させ、鳥を描き込みました。
さらにリンゴの下に、「Ceci n’est pas un magritte(これはマグリットではありません)」文字と自分のサイン「max ernst」と書き込みました。
絵の右下にあるのはマグリットのサインです。
マグリットの反応
マグリットはこのエルンストのジョークに「作り笑い」しただけだったそう。
これは、マグリットが本当に面白がっているわけではなく、何らかの緊張や不快感がある中で表面上だけの笑いをしたことを示唆しています。
マグリットはエルンストが何を意図しているかを理解していたかもしれません。
なぜこんなことをしたのか?
エルンストがこの絵に自分のサインを入れることで、マグリットの名前を遊びの要素として使っています。
マグリットという名前自体をラベルやサインとして使っています。
これは、エルンストがマグリットの作品やスタイルに対して何らかの皮肉や風刺的なコメントをしていたことを示しているかもしれません。
また、リンゴの中から現れた鳥は、「リンゴの中のミミズ(リンゴの外側は完璧に見える一方で、内部を徐々に食べて穴を開けてしまう)」のように、マグリットが表面上は商業的な芸術家に見えるかもしれないけれど、内面的には何かを徐々に変化させる、または崩壊させるような、反抗的で革命的な特性を持っていることを暗示しているのかもしれません。
マグリットはエルンストの贋作も描いていた?!
実はマグリットは経済的困窮のため、有名画家の贋作を描いて売っていた時期があり、エルンストの作品も制作していました。
その作品は、エルンストのカタログレゾネ1167番の作品のようで、何度か展覧会でもエルンストの作品として展示されていました。
エルンストもこの贋作を認知していたようですが、公にコメントすることはありませんでした。その返事がこの作品への描き込みだったのかもしれません。
エルンストはマグリットのことをよく思っていなかったの?
これらのエピソードから、マグリットとエルンストとの間には芸術家としての複雑な関係があったことがわかります。
エルンストがマグリットの作品に描き込んだのは、批判的に見ていたからだとも、仲が良いからこその冗談やからかいだとも考えることができます。
しかし、重要なのは、芸術家たちの間の関係はしばしば複雑で、競合しながらも互いに影響を及ぼし合うことがよくあるということです。
彼らはお互いの作品に敬意を抱きながら、同時に批判的な意見を持つこともあるかもしれません。
文章だけでは、お互いがお互いに対してどのような深い感情を抱いていたのかを完全に判断することはできません。
このエピソードは芸術家間の創造性、模倣、そしてお互いの作品に対する解釈と影響、競争と友情に関する興味深い内容を示しています。