こんにちは!
今回は、ワイエスの《クリスティーナの世界》についてです。
早速見ていきましょう!
クリスティーナの世界
アンドリュー・ワイエス《クリスティーナの世界》1948年
アメリカでは有名な絵
この絵、日本ではそこまで馴染みのある絵ではないかとは思いますが、アメリカではとっても有名な絵です。
なので映画や漫画や小説にこの絵がよく登場しています。
最近だとマーベルの映画『エターナルズ』にもこの絵のオマージュが登場しています。
ニューヨークのMOMA所蔵作品で、外部に貸し出しされることは滅多にないそう。
彼女は何をしているのか?
彼女は草むらに腰を下ろしてくつろいでいる…わけではありません。
描かれているのはアンナ・クリスティーナ・オルソンという実在した人物で、下半身が麻痺していたことから、這って進むことしかできませんでした。
その姿を見て、創作意欲をかき立てられた画家が描いた作品です。
200点以上のモデルに
アンドリュー・ワイエス《クリスティーナ・オルソン》1947年
妻に紹介され別荘近くに住んでいたオルソン家の姉弟、クリスティーナとアルヴァロを、彼らが亡くなる1969年まで約30年間にわたって描きました。
アンドリュー・ワイエス《アンナ・クリスティーナ》1967年
彼女は200点以上もの作品のモデルとなりました。
病弱で孤独に育ったワイエスは、シャルコー・マリー・トゥース病で足が不自由なクリスティーナが何もかもを自分の力でやってのけるその生命力に感動しました。
胴体は別モデル
本作は、クリスティーナを題材とした作品ですが、そのままの彼女を描いたわけではありません。
というのも、この絵を描いた当時、クリスティーナは55歳でした。
描かれた胴部はワイエスの若い妻がモデルを務めています。
車椅子はなかったの?
日常的に腕の力だけで移動する彼女の手は、大きく描かれています。
ここで多くの人が疑問に思うはず…「車椅子は無かったの?」と。
大昔の絵ではないので、もちろん当時も車椅子はありましたが、クリスティーナは車椅子を使いたがらず、這ってでも自分の力だけで進むことを好みました。
ワイエスは「大部分の人が絶望に陥るような境遇にあって、驚異的な克服を見せる彼女の姿を正しく伝えることが私の挑戦だった。」と手紙に書いています。
よく見ると白髪まじりの髪で、年齢を感じさせます。
細密に描かれた草原。
オルソン・ハウス
姉弟の住んでいたオルソン・ハウスは後にアメリカ合衆国国定歴史建造物となり、一般公開されています。