風刺?それとも美化?ゴヤの「カルロス4世の家族」を超解説!

こんにちは!

今回は、ゴヤ《カルロス4世の家族》を解説します。

早速見ていきましょう!

カルロス4世の家族

フランシスコ・デ・ゴヤ《カルロス4世の家族》1800年

ゴヤ43歳のとき、カルロス4世が即位し、宮廷画家になりました。

尊敬していたベラスケスの代表作《ラス・メニーナス》へのオマージュでありながら、スペイン宮廷の腐敗を、見る人が見ればはっきりわかるように描いています。

登場人物

 

無能・愚鈍そのもの(良く言えば優しげに)に描かれた国王カルロス4世と、一切美化されていないかのように見える王妃マリア・ルイサが描かれています。

衣装だけがやたらと華やかです。

中央にでんと立つのは王ではなく王妃なのがまたなんとも…。

後年フランスの作家が「富くじに当たったパン屋の夫婦のごとし」と言っています。

 

王の長男で、後のフェルナンド7世(この時点ではアストゥリアス公、つまり皇太子)は、両親を憎み、ナポレオンに国を売った人物です。

 

ひとりだけ顔をそむけている女性は、まだ決まっていない王太子妃だと考えられています。(つまりフェルナンド7世の妻でマリア・アントニア・デ・ナポレス)

輿入れが終わってから描き込む予定だったといわれています。

 

ベラスケスの《ラス・メニーナス》をマネて、画面左端に大きなキャンバスを置き、その影に隠れるように自分を描き込みました。

 

王の次男カルロス・マリア・イシドロです。

 

王の姉マリア・ホセファです。

 

王の娘マリア・イサベルです。

 

王の末息子フランシスコ・デ・パウラです。

 

王の弟ドン・アントニオ・パスクアルです。

 

王の長女カルロータ・ホアキーナ、もしくは、アントニオ・パスクアルの亡妻マリア・アマリアです。

 

王の娘婿ドン・ルイス・デ・パルマです。

 

王の娘でパルマ公妃マリア・ルイサと、パルマ公夫妻の子(王の孫)で後のパルマ公カルロス・ルイスです。

そんなに受けは良くなかった

ヴァン・ロー《フェリペ5世の家族》1743年

王室は、上のような大きな画面の作品(約4×5メートル)を期待していたため。ゴヤの描いた絵(約2.8×3.3メートル)は、受けが良くなかったといわれています。

とはいえ、評価が低かったわけではなく、描かれた王家の人々は絵が自分に似ていると喜んだそう…。

悪意?それとも美化?

この絵、表向きは王家の立派な肖像画だけれども、実はスペイン宮廷の腐敗を風刺している作品だと解釈されることが多いのですが、誰よりも「宮廷画家」という優越感に浸っていたゴヤが、悪意をもって描くでしょうか?

描く相手をからかって風刺などしていたら、公式の宮廷画家としての仕事は維持できません。王や王妃が怒ったら人生の終わりです。

実際、ゴヤの描いた肖像画は、同時代の他の画家たちの作品に比べ、(これでも)著しく好意的に描いています。

なので、ゴヤがわざと野暮ったく描いたのではなく、本人たちも「似ている」と喜んだといわれる通り、リアリティーを追求して描いていたら、彼らの内面まで描き出してしまった、ということではないかと思います。