こんにちは！
今回は、変人を演じていたのではないかともいわれているダリについてです。
早速見ていきましょう！
サルバドール・ダリ（1904-1989年）
サルバドール・ダリ 1939年
サルバドール・ダリは、スペインのシュルレアリスムの画家です。
フルネームはカタルーニャ語で、サルバドー・ドメネク・ファリプ・ジャシン・ダリ・イ・ドメネクです。
死んだ兄と同じ名前
スペインのカタルニア地方フィゲラスの裕福な家庭に生まれました。
父親は公証人、母親は裕福な商家の娘でした。
前年に亡くなった兄と同じ「サルバドール」という名前を付けられます。
サルバドールとは「救世主」という意味です。
このことが、ダリに大きな心理的影響を与えました。
溺愛
《フィラゲス近くの風景》1910年
幼いダリに美術全集と画材を与えるなど、両親からとても溺愛されて育ちました。
上の絵は６歳のときに描いた絵です。
幼い時から、幻想と強迫観念にとらわれていました。
夏は地中海に面したリゾート地カダケスの別荘で過ごしました。
母の死と画家への道
１７歳のとき、優しかった母親が亡くなり、父親の再婚を機に家を出て、マドリードの美術学校に入学しました。
そこで詩人ロルカ、後の映画監督ルイス・ブニュエルと出会いました。
２１歳のとき、バルセロナで初の個展を開きました。
ピカソがこれを見て、ダリの絵を高く評価しました。
２２歳のとき、パリへ旅行し、ピカソの元を訪問しました。
アンダルシアの犬
dubdubd アンダルシアの犬ルイス・ブニュエルピエール・バチェフフランスフランス映画アートポスタープリントリビングルーム家の装飾-50X70CMフレームなし1個
２５歳のとき、ブニュエルと共同制作映画「アンダルシアの犬」の撮影のためパリへ行きました。
ラバの剥製を死骸らしくメイクしたり、修道士の役で出演したりしました。
空いた時間にパリ進出の準備として、詩人エリュアールなどシュルレアリストたちと親交を結び、画商にアプローチしました。
さらにミロの勧めで、タキシードを買い、パリ社交界にも顔を出しました。
人妻ガラとの出会い
サルバドール・ダリ《レダ・アトミカ》1949年
２ヶ月後、父親の別荘に画商とエリュアール夫妻とその娘を招待します。
そこでエリュアールの妻ガラと出会います。
ダリより１０歳年上のロシア人で、ダリと出会う前に、何人かの芸術家にインスピレーションを与えていたミューズでもありました。
エリュアールと結婚していましたが、ドイツの画家エルンストとも深い仲になり、一時は３人で暮らしていました。
この頃のダリは、笑いの発作に悩まされており、当初ガラは、そんなダリを頭のおかしい田舎者だと思い、気にも留めていませんでした。
しかしその後、海岸で２人だけで話したときに、ガラはダリを理解し、以降行動を共にしました。
エリュアールは娘を連れて去っていきました。
好転
ガラとの出会いから、ダリは制作に専念するようになり、評価は高まっていきました。
ガラはダリの文章を集め、ブルトンに出版を勧めました。
２６歳のとき、ポルト・リガトに住みました。
サルバドール・ダリ《記憶の固執》1931年
サルバドール・ダリ《テーブルとして使われるフェルメールの亡霊》1934年
「アトリエで仕事をするフェルメールを10分でも観察できるならこの右腕を切り落としてもいい」と言うほど、フェルメールのことを高く評価していました。
結婚
３０歳のとき、ガラと結婚しました。
ダリは家族から絶縁されたそう。
ガラはダリのミューズであり、支配者であり、有能なマネージャーでした。
彼女は、ダリの制作中に本を朗読して聞かせたり、描写技術を磨くようにアドバイスしたり、一緒に画材を研究するなど徹底的にサポートしました。
初めてニューヨークへ行きました。
奇行はダリの人気を高めました。
サルバドール・ダリ 「TIME」誌 1936年12月14日
３２歳のとき、タイム誌の表紙を飾りました。
サルバドール・ダリ《ナルシスの変貌》1937年
３４歳のとき、ロンドンで亡命中の精神分析の父フロイトの元を訪問しました。
ドルの亡者
３５歳のとき、ダリの商業主義をからかってブルトンが「Avida Dollars（ドルの亡者）」というあだ名をダリに付けます。
これはダリの名前、Salvador Dalíのつづりを並び替えたアナグラムです。しゃれてる…（笑）
３６歳のとき、第二次世界大戦を避け、アメリカに亡命しました。
ニューヨークで話題の中心になりますが、他のシュルレアリストと対立しました。
名声を確立
サルバドール・ダリ《ポルト・リガトの聖母》1949年
４５歳のとき、ローマ法王ピウス１２世に謁見し、上の絵を見せ祝福を受けました。
スペイン最東端の港町ポルト・リガトは、ダリの故郷に近く、戦後、ガラとともに移り住んだ場所です。
サルバドール・ダリ《ポルト・リガトの聖母》1950年
こちらのバージョンは、福岡市美術館所蔵です。
聖母マリアのモデルはガラで、胴体がくりぬかれて生きた聖櫃となっています。
イエスのモデルは幼い頃のダリだといわれており、胴体をくりぬかれた中にはパンが浮かんでいます。
祭壇は原子核構造と重なっており、宗教と科学を融合させた作品になっています。（下の作品もそうですね）
サルバドール・ダリ《球体のガラテア》1952年
６０歳のとき、イザベル１世大十字章を叙勲します。
ダリは、若いファッションモデル、アマンダ・レアに恋をしたり、自身のフェイク作品を販売する詐欺行為に手を貸して、世間からの信頼を失ってしまいました。
一方ガラは、ダリからプレゼントしてもらった新居の古城に住み、ダリはガラの許可なしに古城に入ることができませんでした。
サルバドール・ダリ《幻覚剤的闘牛士》1969-1970年
７８歳のとき、ガラが亡くなると、棺にすがりついて泣き、「自分の人生の舵を失った」と激しく落ち込み、ジローナのプボル城に引きこもり、その後絵画制作を停止します。
８４歳のとき、フェラゲスの病院で亡くなり、フィラゲス、ダリ美術館内庭に埋葬されました。
まとめ
・ダリは、狂気と奇行で注目を集め、シュールすぎる絵を描いた画家
