マグリット「ピレネーの城」を超解説!窓の代わりに描いた絵

こんにちは!

今回は、マグリットの「ピレネーの城」です。

早速見ていきましょう!

ピレネーの城

ルネ・マグリット《ピレネーの城》1959年

明るい青空を背景に巨岩が浮かんでいます。岩の上には城壁に囲まれた城が見え、下方では波が手前に打ち寄せています。

大画面(縦2m)の大部分を占める巨岩は、雲のように中空にあり、不可思議です。ここには地上の全てを支配する重力の法則から完全に自由な世界が現れています。

窓の代わりに飾りたい

この作品は、ベルギー出身の弁護士で美術評論家の友人ハリー・トルクツィナーが、ニューヨークのオフィス用に注文したものです。

窓を塞ぐという用途を兼ねるため、細長い形状と完全な眺めとしての風景という主題が最初に決定されました。

次にマグリットが浮かぶ巨岩というアイデアを出し、トルクツィナーが海と空を加えることを求めました。

トルクツィナーはマグリットへの手紙の中で「私の少年時代の北海のような暗く波の高い海の上に、なおかつ光の帝国の空のような明るい昼の空の中に、それ(岩)が浮かぶというのが好みです。なにしろ『城塞もどきを戴く希望の岩』が暗い海から上ってくるのですから」(1959年3月18日付の手紙)と語っています。

タイトルは小説から

タイトルは、イギリスのゴシック小説家アン・ラドクリフの「ピレネーの城」(仏語版は「ピレネーの城の幻影」)からきています。

マグリットが、この巨大な岩の「出現」の様相が、小説の喚起するイメージに似つかわしいと考えていたことがトルクツィナーへの手紙からわかります。