こんにちは!
東京国立近代美術館で開催中の「ゲルハルト・リヒター展」に行ってきました。
目次
ゲルハルト・リヒター展
リヒターってどんな人?という方はこちら↓
チケットの価格と入手方法
一般 2,200円、大学生 1,200円、高校生 700円です。
詳しくはこちら
ロッカー
入り口右側にあります。
音声ガイド
女優の鈴木京香さんの音声ガイドがあります。
料金は600円です。
写真撮影
《ビルケナウ》の元になった写真以外は全て撮影OKです。
混雑
・6月1回目
土曜日の朝イチの回で行きましたがかなり混んでいました。
40分ほど経つと一旦少しだけ人が減りましたが、その後どんどん増えていきました。
基本的にどの作品も大きいのと、ひとつの作品の前でじっくり鑑賞する感じでもなく、どんどん人が流れていくので、混雑で見えない〜というわけではありません。
11時すぎくらいにグッズ売り場に行きましたが、タイミングが良かったのかそこまで混雑している感じはありませんでした。
ですが、常設展示を見終わって12時頃前を通り過ぎたら、レジ待ちの列が、ショップ内どころか、入り口近くにあるコインロッカーまでのびていたのでビックリしました。
展覧会場入り口前にも入場待ちの列ができていたので、中はかなり混雑していそう…。
・8月上旬2回目
土曜日お昼過ぎに行きましたが、今回も混んでました。
3時間くらいいましたがずっと混んでました。
これから会期後半ということでますます混みそうな予感。
ゲルハルト・リヒター展 構成
ビルケナウ
4点の巨大な抽象画《ビルケナウ》がバーン!と展示されています。
ホロコーストを芸術的に表現することは可能なのか?そもそも表現していいのか?という論争が昔からありますが、リヒターはどんな思いでこの作品をつくったのでしょうか。
アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りした写真をもとに制作した作品です。
もとになった写真も同じ場所に展示されています。
この写真を撮影したのはゾンダーコマンドと呼ばれるユダヤ人でありながら、ガス室で殺された仲間の死体を焼却する作業に従事していた特殊部隊の1人です。
もちろんゾンダーコマンドも最後には口封じとして殺される運命にあります。
これらの写真を、フォト・ペインティングの手法、つまりそっくりそのままキャンバスに描き、その上に絵の具を重ねています。
絵画と全く同寸の4点の複製写真と、
大きな横長の鏡の作品(グレイの鏡)と一緒に飾られています。
リヒターの少年時代はナチスが勢いに乗っていた時代でした。
彼が父親よりも慕っていた優しいルディ叔父さんはナチス党員でした。
ルディ叔父さんの写真作品も今回一緒に展示されています(フォト・ペインティングのところに写真を載せています)。
彼の叔母もナチスによる強制的な安楽死政策で亡くなっています。
あまりにも主題が重いので、そもそも展覧会に行くかどうかすら正直迷っていたのですが、ちゃんと見てよかったです。
「ビルケナウ」について思ったことを別でまとめました↓
リヒターの作品ってどう見たらいいのかわからないな…難解だ…と思った方はもしよかったら読んでみてください。
フォト・ペインティング
写真のように見えますが、全て絵です。油彩画です。
リヒターの息子、娘、妻がモデルです。
リヒターの息子モーリッツの絵は、ちょこちょこ描き足しているそうで、髪が少しだけ増えたというのには笑いました。
また、持っているスプーン?棒を絵筆に、首回りの白い布をキャンバスに、離乳食かジャムのようなものを絵の具に見立てて、リヒターの自画像だと解釈することもできます。
あまりにも絵が上手すぎる…。
個人的にはリヒター作品のシリーズの中で「フォト・ペインティング」が一番好きです。
下に映り込む女性の顔が心霊写真っぽくてこわい…。
写真をもとに描いた絵を撮影した写真作品
リヒターは、「フォト・ペインティング」をさらに撮影した写真作品も制作しています。
とはいえ、そのまま撮影しているのではなく、絵をさらにぼかしたりしています。
上の作品は、リヒターの叔父ルディがモデルです。
彼はナチスの軍服を着ています。そう、ナチス党員でした。
リヒターは、父親よりも慕っていたルディ叔父さんから、いろんなことを学んだと語っています。
彼は第二次世界大戦に従軍し、命を落としています。
リヒターは、この作品の絵画バージョンの方を、ナチスが虐殺を行ったリディツェ村のミュージアムに寄贈しています。
《8人の女性見習看護師(写真ヴァージョン)》は、シカゴで起こった殺人事件の報道写真をもとに制作した作品です。
説明にある通り「どこか幸せそうな、日常的な表情のみを切り出すように描いて」いるからこそ、こわい…。
カラー・チャート
これぞ現代アートという感じ。
床への映り込みも良い…。
ダミアン・ハーストも似たような作品を作っていますしね。
25色の約50㎝の正方形のカラーチップが196枚並べられています。
…そう、これ、キャンバスなどに接着剤で固定しているわけではないので、今回の展覧会のためにわざわざこれだけの数を並べたんです!すごい……。
組み合わせや形状は会場に合わせて変えているようなので、東京と巡回先の豊田市美術館では形が違います。
グレイペインティング
リヒターはグレイの色彩のことを「なんの感情も、連想も生み出さない」「「無」を明示するのに最適な」色と表現しています。
グレーの作品の横にカラフルな作品があるのも面白い。
お互いがより引き立って見えます。
どうしてこの2つが同じ展示室にあるのかというと…
カラフルな「カラーチャート」、この色たちを全部混ぜたらグレーになります。
ある意味「カラーチャート」と「グレイペインティング」はイコールの関係です。
見せ方は違うけど本質的には同じだということです。
アブストラクト・ペインティング
アブストラクト・ペインティングとは「抽象絵画」という意味です。
大きなへらで絵の具を塗り、削った作品です。
ドキュメンタリー映画「ゲルハルト・リヒター ペインティング」(会場のミュージアムショップにも売っていました)を先に見てから、「アブストラクト・ペインティング」を見ると、どうやって描いたのかがわかるのでかなり面白いですよ!
最晩年のモネの《睡蓮》を思わせる上の作品は、2017年に描かれたものです。
この作品を描き終えた後、もう油絵は描かないとリヒターが宣言しているんだそう。
右の作品は、リヒターが自分の手元に置き続けている作品、つまり作家蔵の作品なのですが、なんとなんと…
アルミニウムの上に油絵を描いています。
この写真では全く伝わりませんが、実物は見る角度を変えると下のアルミニウムがキラッキラッと光ってなんともおしゃれ。
ストリップ・ペインティング
絵画をスキャンしたデジタル画像を2等分し続け、無数の細い横縞をつくり出しています。
実物より写真で見る方がなんだかめまいがするな…。
この作品、線がズレないように設置するのがとても大変だったそうで、つなぎ目をよ〜〜く見ると少しズレています(笑)。
どんどん拡大していきます。
おお…。
どこまでもどこまでも…。
アラジン
ガラス板にラッカー塗料を転写して作った作品のシリーズです。
オイル・オン・フォト
写真に油絵具などを塗りつけたシリーズです。
《ビルケナウ》を思い起こさせるような作品もありました。
ドローイング
抽象的なドローイングの数々…最初見たとき「え、これ何…」となったのですが(笑)、これはリヒターがもう新規の作品は作らないと宣言してから、でもなんか描いちゃった絵、つまり最新作だと知ってから、急に作品が可愛く見えてきました。
2021年なので去年ですね。もう作るのは終わりと言わず、これからもたくさん作品をつくってほしいですね!
そして展覧会場最後に飾ってあったのがこちら。
これは「9.11」アメリカ同時多発テロ事件を題材にした作品で、写真を絵にした作品です。
その他
《鏡、血のような赤》、題名が怖い。
ドイツの議会議事堂にとっても大きなリヒターの作品が展示されているのですが、本作はその試作のひとつです。
常設展示
リヒター展のチケットで常設展示も見ることができ、こちらにもリヒターの作品が飾られています。
6月に行ったときはこの小型の作品がいくつも並んでいましたが、8月に行ったら作品が変わっていてびっくり。
8月はこの作品でした!
ミュージアムショップ
図録、関連書籍、ポストカード、ポスター、バッグ、ノート、ボールペンなどがありました。
リヒター展のポストカードは、作品のサイズに合わせて作られていて変な余白が無いのが最高…!
さらにさらに、こういった変型ポストカードは高くなりがちなのに、どれを買っても165円は本当に良心的だなと思いました。
とっても分厚い図録!
図録ですが、展示以外の作品もいろいろと載っている「リヒターの本」といったところ。
ひとつひとつの作品の解説はほぼありませんでした。会場内のキャプションが一番詳しい…。
ドキュメンタリー映画「ゲルハルト・リヒター ペインティング」、私は事前に購入して見ましたが、ミュージアムショップにも置いてありました。
カフェ&レストラン
レストラン「ラー・エ・ミクニ」があります。
ランチ3500円(税別)〜なので、カフェ利用できるようなお店ではなく、ちょっと奮発してコース料理を食べようかな?という人向けです。
リヒター展 概要
会期:2022年6月7日(火)〜10月2日(日)
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
開館時間:10:00〜17:00(金・土曜日は10:00〜20:00)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)、9月19日(月・祝)は開館)、7月19日(火)、9月20日(火)
観覧料:一般 2,200円、大学生 1,200円、高校生 700円
※中学生以下、障害者手帳の提示者とその付添者(1名)は無料