フェルメール「婦人と召使」を超解説!謎の手紙は誰から?

こんにちは!

今回は、フェルメールの《婦人と召使》についてです。

早速見ていきましょう!

婦人と召使

ヨハネス・フェルメール《婦人と召使》1666-1667年

謎の手紙を受け取った瞬間の召使いと婦人の様子が描かれています。

裕福な女性

 

指をあごに当てるしぐさをしながら、困ったような表情をしている若い女主人が描かれています。

 

彼女が裕福であることは、エレガントな髪型や、髪や首、耳を飾る真珠、そして毛皮の付いた黄色の上着によって示されています。

 

婦人の黄色いサテンのジャケットは、中上流階級の女性が寒い時期に家の中で着用する普段着でした。

黄色のジャケットや青いテーブルクロスは《手紙を書く女》など、フェルメール作品にたびたび登場しています。

 

さらに婦人の所作、つまり読み書きによって彼女が教育を受けていることがわかり、特権的な身分であることが表現されています。

召使がやって来て、婦人はその手紙を見上げ、手紙を書く手を止めています。

召使い

 

手紙を持つこの召使いは、影の中から現れています。

彼女の顔は戸惑っているようにも、訳知り顔にも見えます。

召使いはブラウスとシンプルなウール製の茶色い胴着に、鮮やかな青いエプロンを身に付けています。

謎の手紙

 

召使いと婦人の戸惑ったようなしぐさから、手紙の差出人は訳ありの相手であることが推測できます。

オランダの絵画作品、特に17世紀中盤以降のものにおいては恋文が一般的な題材として描かれてきました。

しかしここでは手紙の内容やそれに対する婦人の反応は表現されていません。

フェルメールの作品でよく見かけるこのあいまいさは、結末が予想できないドラマに登場人物が陥ったかのような、不思議な雰囲気に満ちています。

背景のカーテン

 

暗く塗られた背景をよく見てみるとカーテンがぼんやりと描かれていますが、これは誰か別の人物が加筆した可能性があるといわれています。

暗い背景は、一見すると日が差し込む室内というフェルメールの典型的なテーマとはかけ離れているように見えます。

 

しかし、光を描く彼の巧妙な筆使いは、テーブルの上のグラスの反射に描かれており、部屋の中には描かれていない窓から差し込む光が感じられます。

 

この強い光の光源は絵の中には描かれていませんが、2人の女性の、特に婦人の柔らかく描かれた輪郭や手にスポットライトのように当たり、仕草を印象づけています。

未完の作品

召使いの頭部や姿、ほとんど何もない背景から、この絵は未完成だとわかります。