ドガの洗濯女シリーズを10枚紹介!「アイロンをかける女たち」がモデルになった小説がある?

こんにちは!

今回は、ドガの連作、アイロンをかける洗濯女たちの絵を紹介します。

早速見ていきましょう!

ドガの洗濯女シリーズ

アイロンがけは重労働

エドガー・ドガ《アイロンをかける女性》1869年頃

19世紀のパリでは、女性労働者の約25%が洗濯を仕事にしていました。(もちろん当時まだ洗濯機なんてありません)

かなりの重労働&暑さの中で作業をしなければなりませんでした。

《アイロンをかける女性》1873年

というのもこの鉄製アイロンはまだ電化されていないため、そばで石炭を燃やし、その上に置いて熱して使いました。

そのため仕事場はかなり蒸し暑かったのです。

ゾラ『居酒屋』のモデルに

《アイロンをかける女性》1873年

印象派が活躍した時代を代表する作家のひとりエミール・ゾラは、貧しい洗濯女をヒロインに『居酒屋』という小説を書きました。

必死に働いてお金を貯め、ついに自分の店を構えるまでになるけれど、夫の怪我がもとで暮らしは困窮し、アルコールに逃げ場を求めて、ついに惨めな最期を遂げるというストーリーです。

このヒロインを洗濯女にするきっかけとなった絵が、ドガの洗濯女を描いたシリーズだといわれています。

《アイロンをかける女性》1882-1886年

《アイロンをかける女性》1882-1886年

《洗濯女》1882-1884年頃

この後に続く絵では、あくびをしている女性として描かれていきますが、上の絵では、左手に紙を持っていることから、洗濯物のリスト(終わった洗濯物の確認か、次にすることの確認か)を叫んでいます。

彼女は右手の薬指に金の指輪をしています。(ドガはこういった細かな描写はあまりしないので珍しい)

エドガー・ドガ《アイロンをかける女たち》1884-1886年

エドガー・ドガ《アイロンをかける女たち》1884-1886年

大あくびをする女性は、長時間労働に疲れているのか、それともワインを飲みすぎて眠くなったのかもしれません。

当時、酒を飲みながらの仕事が黙認されていました。 

《アイロンをかける女性》1886-1887年

《アイロンをかける女性》1892-1895年