こんにちは!
今回は、フラゴナールの《ぶらんこ》を解説します。
早速見ていきましょう!
ぶらんこ
ジャン・オノレ・フラゴナール《ぶらんこ》1767-1768年
フラゴナールの代表作です。
ぱっと見、ピンクのふわふわドレスで可愛い〜っ!この作品好き〜!
って思うかもしれませんが、人前で「この絵好き〜」って言うには、結構ハレンチな絵だったりします。
というのも、この絵、何が描かれているのかと言うと、「愛人のスカートの中を見ている」絵なんです……
友人の代わりに描いた
この絵元々は、フラゴナールの友人の画家ドワイヤンが依頼されていた絵でした。
しかし、真面目なドワイヤンは「そんなハレンチな絵は描けない!」となり、フラゴナール(こういう絵が大得意)にお願いしたんだとか…。
主題が下品でも優雅に見せることができるのがフラゴナールでした。
依頼主
大興奮。
何しろ見ているのはスカートの中。(さらに当時は下着をつけないのが主流)
このやばい感じの人は、ルイ15世の廷臣サン=ジュリアン男爵、依頼主です。
つまり、スカートの中を覗き込んでいるのは依頼者本人のリクエストです…。
愛人
ピンクのシルクのドレスに身を包んだ彼女は、男爵の愛人です。
スカートの中を見せるようにドレスを蹴り上げます。
その反動でピンクのミュールが飛んでいきます。
飛ぶ靴は、性の解放や興奮を意味しています。
こんなふうに脱げやすいミュールは、その脱げやすさゆえに流行したそう。
寝取られ夫
何も知らない彼女の年老いた夫が、ブランコを揺らしています。
そう、愛人は茂みに隠れているのです。2人だけの秘密…。
当時、貴族やお金持ちの娘は、かなり年上の相手へと嫁ぐことが普通だったため、夫婦の間に愛はほぼなく、結婚は、男児を生む契約をしているようなものでした。
フランスでは、跡継ぎを産んで責任を果たした後なら、別の相手と恋をしてもいいという暗黙の了解がありました。(男性だけでなく、女性の浮気も許容されていました)
なのでこの夫も2人の関係に気付きつつも見て見ぬふりをしていたのかもしれません…。
犬
夫の近くに犬が描かれています。
犬は「貞節」を象徴しますが、ここではその犬が吠えているようなので、守られてないってことですね。
キューピッド
下にいるキューピッドの彫刻は、戸惑いを隠せない表情をしています。
左のキューピッドの彫刻は、人差し指を口に当てて「し〜」のポーズ。
秘密だよってことです。
また、薄暗い森は、秘めごとの比喩です。
ディズニーはこの絵が好き
この絵、なんと『アナと雪の女王』にも登場しています!
「♪生まれてはじめて」の歌の途中、絵がたくさん飾られている部屋のシーンで出てきます。
さらに『塔の上のラプンツェル』のビジュアルイメージもこの絵からきています。
そして、ディズニーシーのおみやげもの屋さんにもこの絵のパロディが置いてあります↓