こんにちは!
今回は、ルソーの描いたジャングルの絵を紹介します。
早速見ていきましょう!
ジャングルの絵
ルソーはジャングルを舞台にした絵を多数描いています。
本人が言うには「ナポレオン3世と共にメキシコ従軍したときの思い出を元に描いた」そうですが、実際には南国になんて行っていません。ウソです。
パリの自然史博物館とパリの植物園で、植物や外国の動物の剥製をスケッチしたり、写真や雑誌の挿絵を元に描いています。
《熱帯嵐のなかのトラ》1891年
画面の外にいる獲物に飛びかかろうとしている瞬間が描かれています。
よく見ると半透明のシルバーグレーの線で画面が覆われており、雨を表現しています。
これは歌川広重の雨の情景を描いた浮世絵と表現方法が似ていることから、ルソーもどこかで見たことがあったのかもしれません。
というのも、当時のフランスでは、日本の浮世絵が広く流通していました。
《トラに襲われる斥候》1904年
《飢えたライオン》1905年
シュール。
顔が気になる。
カモシカが泣いているのも、またなんともシュールな…
想像で頑張って描いたのかな…なんて思ってしまいますが、ちゃんとパリの国立自然史博物館にある「カモシカをむさぼり食うセネガルライオン」という剥製を元に描いています。
上には肉片をくわえたフクロウが…カモシカかな……
他にもよく見ると木々の間に動物がいます。
《陽気な道化たち》1906年
《蛇使いの女》1907年
実際にこの絵をオルセー 美術館で見たことがあるのですが、飾ってある部屋があまり明るくない&絵もこの画像以上に暗く感じて、雰囲気がありました。
木にからまった蛇と裸の女性という組み合わせは、エデンの園とイヴを連想させます。
よく見ると、葉っぱに紛れて鳥がいます。(かわいい)
ルソーはこの絵の葉っぱを、22種類の緑色を使って描いています。
ところで君はだれ…?
フラミンゴっぽい色をしたペリカン風の謎の鳥がいます。
《ライオンの食事》1907年頃
バナナが逆さまに成長しています…(笑)
ルソーは他の絵でもバナナをよく描いていますが逆向きになっています。
実物を見ていなかったので勘違いしたのでしょうか。
《異国風景》1908年
《虎と水牛の戦い》1908年
詐欺事件で投獄されていたときに制作した作品です。
ルソーは可愛らしい絵を描くので、少年の心を持ったまま大人になった感じを想像してしまいがちですが、絵柄と人柄は全く違うようですね…
知れば知るほどルソーのギャップの大きさに慄いています。
《虎と水牛の戦い》1908-1909
《赤道上のジャングル》1909年
顔かわいい!!!
お口から歯が少し見えているのもかわいい。
《熱帯の風景:ゴリラと戦うアメリカインディアン》1910年
ゴリラの方が人間味あるな???
メガネしているのかと思いました。
《夕日とジャングル》1910年頃
《滝》1910年
《猿のいる熱帯林》1910年
なんてつぶらな瞳…
緑の棒からは細いヒモも垂らして釣りでもしてるのか、人間っぽい猿が描かれています。
都会パリでの窮屈で単調な生活から抜け出したいというルソーの願望の表れでしょうか。
《夢》1910年
ルソーが描いたジャングルの絵の中で最大の大きさで、約2×3メートルあります。
モデルは愛人のポーランド人のヤドヴィガです。
彼女の夢の中を描いたのでしょうか。
この横たわる女性という図は、この3つの絵を踏まえて描いていそうな気がします。
蛇使いが楽器を演奏しています。
お目々まん丸なライオン。
この絵は原田マハさんの小説『楽園のカンヴァス』の表紙絵としても使われているので、見たことがある人も多いはず。
読んだことがない方は、とっても面白い小説なので超オススメです!