こんにちは!
今回は、ギリシャ神話に登場する狩りの女神ディアナを解説します。
早速見ていきましょう!
ディアナ(アルテミス、ダイアナ)
フランソワ・ブーシェ《水浴のディアナ》1742年
ギリシャ名:アルテミス、ローマ名:ディアナ、英語名:ダイアナ
アトリビュート:三日月の髪飾り、狩りの道具や獲物、猟犬、動物
月と狩りと野生動物の女神です。
彼女の名前は、悲運の元イギリス皇太子妃をはじめ、女性の名前として非常にポピュラーなものです。
美しく、人を寄せつけない狩りの女神ディアナは、容赦ない残忍な一面も持ち合わせています。
人間不信で、野生動物やお供の女性たちとの森での生活をこよなく愛していました。
トラウマ
フォンテーヌブロー派《狩りの女神ディアナ》1540-1560年
ディアナの母でティタン神族のレトは、ゼウスの子を妊娠中、ヘラに追い回されていました。
なんとか無人のデロス島に逃げ、9夜9日苦しんだのち、無事に出産しました。
最初に生まれてきたディアナは、すぐさま母を助け、双子の弟アポロンが生まれました。(ディアナが妹説もあり)
ディアナはアポロンを心から愛しました。
アポロンは太陽神、ディアナは月の女神なので、2人は太陽と月の関係でした。
しかし、分娩の苦しみを目にしてすっかり怖気づき、父ゼウスに自分を一生処女のままにしておいてほしいと頼みました。
「絶対に出産だけは嫌だ」と拒み、異常なまでの執念を持って処女を貫いたため、純潔や貞節の守護神でもあります。
怒らせると怖い
ディアナは、驚くほど自尊心が高く、容赦のない性格でした。
例えば、狩りをおえたミュケナイ王アガメムノンが「ディアナだって、これほどの立派な鹿はしとめられないだろう」と口を滑らすと、ギリシャ艦隊を足どめし、トロイア戦争へ行けなくさせました。
娘イビゲネイアを生贄にすればディアナの怒りが解けると聞いたアガメムノンは、何とか出陣したい一心で、涙を呑んで娘を炎の上に捧げました。
しかし、最後の瞬間、ディアナは娘と鹿を取り換えて、彼女を自分のお供の1人にし、一件落着。
理不尽とこぐま座とおおくま座
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ディアナとカリスト》1556-1559年
ある日、父ゼウスはディアナのおつきのカリストに恋をしました。
そこで何とディアナの姿になり、カリストを犯します。
カリストが妊娠している(つまり処女ではない)ことに気がついたディアナは、情け容赦なく彼女を熊に変えて罰しました。
のちに、カリストの息子アルカスはこの熊に出会いますが、実の母親だと知らずにしとめようとします。
不憫に思ったゼウスは、2人を天にあげ、こぐま座とおおくま座になりました。
冷酷
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ディアナとアクタイオン》1556-1559年
純潔にこだわるあまり、アルテミスには無慈悲な一面もありました。
例えば、水浴びをしていたとき、道に迷った狩人のアクタイオンとたまたま鉢合わせすると、水をかけて鹿に変えてしまいました。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《アクタイオンの死》1559-1575年頃
パニックになったアクタイオンは悲鳴をあげて逃げたものの、自分の猟犬たちに噛み殺されてしまいました…。