こんにちは!
今回は、最強の神が黄金の雨に変身して美女を誘惑するという謎の神話画についてです!
早速見ていきましょう!
ティツィアーノの5つのダナエ
ティツィアーノは、ギリシャ神話に登場するダナエの絵を、少なくとも5点は描いていたと考えられています。
その5点を紹介します!
国立カポディモンテ美術館
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ダナエ》1544年
ダナエの産む息子が、ダナエの父を殺すという神のお告げを受け、地下室に幽閉されます。
ここからが神話あるある謎の超展開なのですが、彼女にベタ惚れのゼウス(一番偉い神)が、黄金の雨に変身して、彼女を誘惑し、ダナエは男児を妊娠します。
…というシーンが描かれています。
ですが、絵を見てわかる通り、全然地下じゃない。
外の景色すごい描いてますよね。
地下だと映えないので、その設定は無視したんでしょう。
この絵では、黄金の雨はなんとなく降ってるな程度、そしてキューピッドが一緒に描かれています。
アプスレーハウス(ウェリントン美術館)
《ダナエ》1550-1560年頃
キューピッドの部分を老婆に変えることで、ダナエの美しさをより引き立てています。
プラド美術館
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ダナエ》1560-1565年
ティツィアーノのダナエの中で、この絵が一番有名です。
上の2枚の絵より、黄金の雨は激しく、金貨っぽく描かれ、足にあった布も無くなっています。
また、老婆の色を浅黒く描くことで、肌の色でも対比させています。
美女と金貨、という組み合わせから売春を連想させる神話でもあります。
ダナエの近くには丸まった犬がいますが、これは放蕩の象徴です。
エルミタージュ美術館
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ダナエ》1554年
この絵、気付くと、おぉぉ…ってなる部分があるのですが、わかりますか?
こわいな。雲の中にゼウスの顔が。怖すぎる。
ビックリさせないでほしい。
ダナエのその後のストーリーですが、結局ダナエの父はダナエの息子に殺されてしまいます。
殺され方に様々なバージョンがありますが、円盤投げ競技に出場したダナエの息子が投げた円盤が、運悪く観客席にいたダナエの父に命中し、即死。
という、殺されたというよりも、不慮の事故で死んでしまいます。
運命は変えられない感がすごい。
美術史美術館(ウィーン)
ティツィアーノの工房《ダナエ》1554年頃
こちらは、ティツィアーノではなくて、ティツィアーの工房作です。
犬の代わりにピンクの花が描かれています。
この絵にも、わかりにくいですがゼウスの顔があります…。
他の画家が描いたダナエ
コレッジョ《ダナエ》1531-1532年
レンブラント・ファン・レイン《ダナエ》1636年
アレクサンドル・ジャック・シャントロン《ダナエ》1891年
グスタフ・クリムト《ダナエ》1907年