こんにちは!
今回は、マンテーニャの《キリストの磔刑》を解説します。
早速見ていきましょう!
キリストの磔刑
アンドレア・マンテーニャ《磔刑》1457-1460年
背景には、古代ローマ風の都市と巨大な岩山がそびえています。
この、岩山や地質学への偏執狂的なこだわりは、マンテーニャの特徴のひとつでもありました。
飛び出すイエス
十字架が立つ石の台座は、手前にやや広がる扇形になっており、さらに背後の中景は谷、奥の遠景には高さがあるため、中央の十字架は3Dのように浮かび上がり、鑑賞者の方へ迫ってきます。
これは、マンテーニャの遠近法を駆使した優れた構図のなせる技でした。
イエスと十字架の上の文字
イエスが磔にされている十字架に刻まれた「INRI」は、ラテン語で「ユダヤの王ナザレのイエス」の頭文字です。
イエスの罪状は、ユダヤの王位を語ったことでした。
アダムのドクロ
磔刑の場面に必ずと言っていいほどドクロが描き込まれています。
これは、イエスが磔にされたエルサレムのゴルゴタの丘に、人祖アダムの墓があったと伝わっているためです。
左脇を槍で突いた人
イエスの近くに描かれているのは、のちの聖ロンギヌスです。
磔になったイエスの生死を確かめるために、左脇腹に槍を刺したローマ帝国の兵士です。
イエスの血が目に入り、失っていた視力を取り戻したことから、その後洗礼を受けたといわれています。
善き盗人と善
イエスが磔にされている十字架の縦軸は、善悪を分ける境界線になっています。
左側には、「キリストは無実」と語った善き盗人が描かれています。
聖母マリア、聖ヨハネや聖女たち、エルサレムの町、光が描かれています。
悪い盗人と悪
右側には、イエスを罵倒した悪い盗人が描かれています。
十字架に磔にされた盗人も、左は明るく、右は暗い色をしています。
イエスの衣を賭けてサイコロをふる兵士たち、枯れた木々、影が描かれています。
ナポレオンが略奪
この作品は、イタリアのヴェローナにあるサン・ゼーノ聖堂の中央祭壇画を飾るために制作された絵でしたが、時を経てナポレオンに略奪され、フランスのルーヴル美術館に所蔵されています。