ヒルマ・アフ・クリント展の感想と完全ガイド!コラボコースがあまりにもステキすぎ超おすすめ!

こんにちは!

東京国立近代美術館で開催中の企画展「ヒルマ・アフ・クリント展」に行ってきました。

ヒルマ・アフ・クリント展

アジア初となる大回顧展です。「10の最大物」をはじめ、約140点の作品がすべて初来日です!とってもよかった!おすすめです!

チケットの価格と入手方法

一般 2,300円、大学生 1,200円、高校生 700円、中学生以下無料です。

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ロッカー

入り口右側にあります。

音声ガイドは借りた方がいい!

会場内、作品説明のキャプションが無いので、音声ガイドを借りることを強くお勧めします!

これがあると無いでは作品の理解度がかなり変わるというか、無いと全然意味がわからなくて「なんか不思議な絵だな〜」で終わってしまうのでは。

解説を聞くと、「あぁこの形や色はそういうことか」と、作品の鑑賞の仕方がわかるのでかなり面白かったです。

俳優の趣里さんの音声ガイドがあります。

会場レンタル版もアプリ配信版もどちらも650円です。

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写真撮影

写真撮影OK、動画撮影不可です。

混雑

土曜日の朝イチに行きましたがほどほどの人の多さ、どちらかといえば空いている方でした。開館10分間に着いて前に12人くらい並んでいました。時間より少し早めに開きました。

その後11時30分くらいまで会場内にいましたが、若干人は増えたものの超混雑!という感じではありませんでした。

第1章、2章らへんのスペースが狭い&小さいサイズの作品が多いので、人が少し増えただけでぎゅうぎゅうな感じになってしまうのですが、それ以降は作品が大きい&広々としているのでゆとりをもって鑑賞できると思います。

人の波があるので、最初らへんの狭いスペースもぎゅうぎゅうに人が増えるときと、すかすかに空くタイミング、どちらもあるので、空いているところから見たり、少し待ってみるといいかもしれません。

ヒルマ・アフ・クリント展 構成

1章 アカデミーでの教育から、職業画家へ

背景と環境

1862年、ヒルマ・アフ・クリントはスウェーデン・ストックホルムの裕福な家庭に生まれました。

父親は海軍士官で、幼い頃から天文学や航海術、数学などに触れ、後の制作に大きな影響を与えました。

美術教育

1882年、女性の入学が少なかった王立芸術アカデミーに入学。

正確なデッサン力と、緻密な植物写生など高い技術を身につけました。

1887年、優秀な成績で卒業します。

職業画家としての活動

肖像画や風景画を描き、児童書・医学書の挿絵なども手がけました。

スウェーデン女性芸術家協会の幹事としても活躍するなど、多岐にわたる才能を発揮しました。

2章 精神世界の探求

スピリチュアリズムへの傾倒

17歳頃(1879年頃)から霊的思想に興味を持ち始めます。

19世紀後半のストックホルムには神智学や秘教的な団体が複数存在していました。

美術教育と並行して交霊術や神智学(ブラヴァツキーの思想)に深く傾倒。

「5人(De Fem)」の結成

1896年、親しい女性4人と結成し、1908年頃まで活動しました。

トランス状態で高次の霊的存在からメッセージを受け取り、自動描画・書記を行うという制作方法でした。

波線や螺旋形、植物・細胞・天体など、具体から抽象まで多様なドローイングが多数残されています。

抽象表現への道

交霊術を通じてアカデミックな具象表現から離脱。

新しい視覚言語・抽象性を試みるきっかけとなりました。

3章 「神殿のための絵画」

制作のきっかけと概要

1904年、「5人」の交霊の集いで神智学的教えを描くよう告げられ、制作を開始。

1906年から1915年にかけ、全193点にも及ぶシリーズを完成させました。

幾何学図形や植物モチーフなど多様な要素を用い、“眼に見えない実在”を探究。

主なシリーズ

〈原初の混沌〉:善悪、男女など二項対立を統合し、世界の始まりにある“一体性”を表現。

〈エロス〉:愛や生命力の象徴としてのモチーフが登場。

〈10の最大物〉:人生の4段階(幼年期・青年期・成人期・老年期)を巨大なテンペラ画で描いています。

高さ3メートルを超える、シリーズ中でも極めて大型の10点組です。

曲線や円、花弁や巻貝のような有機的モチーフが組み合わさり、圧倒的なスケール感をもつ。

〈白鳥〉:白鳥が具象から抽象へ、また具象へと変容する過程を全24点で表現。

時代背景との関連

当時、電気やX線、放射線など“目に見えない世界”が科学的に解明され始めていました。

精神世界と科学的探究の両面が、同時期の芸術家に大きな刺激を与えました。

このような背景のもと、“不可視の実在”を絵画にしたアフ・クリントは、モダン・アート史上重要な存在となりました。

4章 「神殿のための絵画」以降:人智学への旅

幾何学的・図式的表現の発展

「神殿のための絵画」完結後、〈原子シリーズ〉(1917年)や〈穀物についての作品〉(1920年)などを制作。

眼に見えない存在への探究を継続しつつ、表現は一層幾何学的・図式的に。

人智学(じんちがく)への傾倒

1920年に母が亡くなったのを機に、シュタイナーの人智学にさらに深く傾倒。

スイス・ドルナッハに長期滞在し、思想面・制作面ともに大きな影響を受けました。

幾何学的スタイルから、水彩のにじみを活かす手法へと変化し、色そのものの力を探究。

5章 体系の完成へ向けて

晩年の水彩制作

1920年代以降は水彩を中心に、宗教・神話的モチーフを組み合わせた作品を継続。

《地図:グレートブリテン》など、時代を暗示する予言的な作品も残しました。

ノートの編集・建築構想

1920年代半ば以降、過去のノートや資料を体系的に編集・改訂。

「神殿のための絵画」を収める螺旋状の建築物を構想し、内部の展示プランも具体的に検討していました。

こうした厳密な体系化への姿勢は、彼女の創作活動全体に通底するものです。

最期と作品の受け継ぎ

1944年、81歳で逝去。

1,000点を超える作品やノートを甥に託しました。

長らく未公開だったものの、その壮大な仕事が21世紀に入り再評価され、今日の世界的評価につながっています。

まとめ

一貫したテーマ:アカデミックな美術教育で培った技術を基礎に、スピリチュアリズムや神智学・人智学などの影響を深く受け、「眼には見えない実在」を探究し続けました。

芸術史的意義:カンディンスキーやモンドリアンらと並ぶ抽象絵画の先駆者として、従来の美術概念を超える表現を追求。

多彩な方法論:幾何学的図形、植物・動物のモチーフ、水彩のにじみなど、さまざまな手法を用いて独自の視覚言語を構築。

厳密な体系性:広範なノートや建築計画などから、作品を単なるアートではなく一大システムとしてまとめ上げようとした姿勢が伺えます。

ヒルマ・アフ・クリントの作品とその背景を知ることで、近代芸術の発展における“霊的・科学的な探究”の重要性をあらためて感じ取ることができます。

ミュージアムショップ

図録、ポストカード、クリアファイル、ブックマーカー、マグネット、キーホルダー、靴下、Tシャツ、PCケースなどがありました。

私はノーベル賞授賞式の晩餐会で提供させる紅茶として有名な「セーデルブレンド」という紅茶が売っていたので買いました。これ飲んでみたかったんだよね〜うれしい!

展覧会がとてもよかったのと、図録の表紙の裏面が↑この絵一覧が印刷してあってとても欲しかったのですが、あまりにも図録の中の作品の色味が実物と全く違ってくすんでいて微妙すぎたので諦めました…。残念。

その他北欧グッズ(靴下、ふきん、ブランケットなど)や紅茶やお菓子などもありました。

カフェ&レストラン

レストラン「ラー・エ・ミクニ」があります。席数が少ない&人気なので、基本的には予約して行った方がいいと思います。以前、予約で満席で入れない日もありました。

今回は、展覧会コラボコース8,000円を注文しました。↑これらの作品をイメージした料理が5品出てきます。

少し高いけど、とてもよかったです!おすすめです!

要注意情報ですが、提供期間は3月4日〜20日、4月8日〜6月15日です。(3月21日〜4月6日の提供はありません。)

前菜「マグロのタルタルとハマグリのポッシェ菜園風」

食べるのがもったいないくらいキレイ。この一皿でもう元を取ったくらいの気持ちで満足しました。作品の要素がいろんなところに感じられて楽しい。

パスタ「タリオリーニ ムール貝とながらみのアラビアータ サバイヨンソース」

これも作品と見比べて、貝殻がこれか〜となりながら食べました。味も本当においしかった。

お魚料理「真鯛のルロー イカ墨とヴァンブランソース」

ちょっとさみしい感じ…味も独特で好みが分かれそうな感じ。

お肉料理「島根県産 勝部牛 パートフィロの包み焼き リンゴンベリーソース」

これも作品と見比べるのたのしい。特にそら豆とか芽キャベツの部分とか。

お肉がステーキなどではなく肉団子なのはちょっと物足りない感じがしつつ、これはこれでかわいいね。

デザート「桜の葉と苺のパルフェ 桜花のコンディモン」

これも不思議な味がしました。緑色のクリームのアイスみたいな部分が桜味?なのがなんとも…。

コーヒー又は紅茶が選べます。私は紅茶のミルクでお願いしたら、なんと!ミルクティーで出てきました!うれしすぎる。もちろんおいしかったです。

小菓子は塩気のあるクッキーとカヌレでした。これもおいしかった。

大満足のコースでした!見た目がとってもきれいなのでぜひ展覧会と合わせて楽しんでみてはいかかでしょうか?

ヒルマ・アフ・クリント展 概要

会期:2025年3月4日~6月15日
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~17:00(金土~20:00) ※入館は閉館30分前まで
休館日:月、5月7日(ただし3月31日、5月5日は開館)