ルイーズ・ブルジョワ展の感想と完全ガイド!

こんにちは!

六本木の森美術館で開催中の「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」に行ってきました。

ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ

ルイーズ・ブルジョワ《ママン》1999/2002年

日本では27年ぶり、国内最大規模のルイーズ・ブルジョワ展です!約100点の作品が集まっています。

とっても良かったです。かなりおすすめ!

生きるために作ったアートたち、パワーが桁違いです。

チケットの価格と入手方法

日時指定制です。平日、休日、当日窓口購入、オンライン予約かで値段が変わります。

土日祝オンライン予約の場合

一般2,000円、高・大学生1,400円、中学生以下無料です。

詳しくはこちら

ロッカー

展覧会入場口の近くに100円返却式ロッカーがあります。

音声ガイド

二階堂ふみさんのスマホのアプリで聞く有料の音声ガイドがあります。料金は600円です。

写真撮影

写真・動画撮影(1分以内)OKです。

混雑

祝日の朝イチ10:00の回で行きました。開館5分前で約20人くらいの待ちでした。

時間が経つにつれてどんどん人が増えていきましたが、人の波があるので、ひとつの作品の前にたくさん人がいたり、いなくなったり…という感じでした。

2時間会場内にいましたが、最初の30分間はそこまで人がいない感じ、1時間後には結構人が増えて、2時間後には少し落ち着くという感じでした。

ルイーズ・ブルジョワ展 構成

第1章 私を見捨てないで

ルイーズ・ブルジョワ《隠された過去》2004年

ブルジョワは、見捨てられることへの恐怖を生涯抱え続け、それが母親との別れに根ざしていると感じていました。

彼女は「母性」をテーマに、母と子の関係がすべての人間関係の基礎になると考えていました。

彼女の彫刻には人体の断片が頻繁に登場し、不安や精神的崩壊の象徴や兆候を表しています。

ブルジョワは「私の彫刻は私の身体であり、私の身体は私の彫刻なのです」と語り、彫刻を通して自身の内面を表現していました。

ルイーズ・ブルジョワ《家出娘》1938年頃

ルイーズ・ブルジョワ《かまえる蜘蛛》2003年

この角度から撮るとかまえる蜘蛛!って感じが出る。

ルイーズ・ブルジョワ《良い母》2003年

ルイーズ・ブルジョワ《無口な子》2003年

ルイーズ・ブルジョワ《自然研究》1984年

赤ちゃんだけブンブン揺れていてびっくりした。

ルイーズ・ブルジョワ《カップル》2003年

ルイーズ・ブルジョワ《胸と刃》1991年

この作品、後ろから見ると…

ナイフが仕込まれています。会場内のキャプションによると「他者に害を与えてでも無防備な我が子を守ろうとする、母性愛の暴力的側面がほのめかされています」。

ルイーズ・ブルジョワ《私の眼差しで彼の瞳をとらえた》2002年

女性が家とひとつになった絵「ファム・メゾン(女・家)」シリーズ。家に守られている一方で閉じ込められている女性の現実を表しているそう。

ルイーズ・ブルジョワ《彼は完全な沈黙へと消え失せた》1947年

「疎外感、失望、不条理、コミュニケーションの失敗や拒絶を主題とした物語」が描かれています。

全部読むとなんともいえない気分になる。アンデルセンの童話のような残酷さを感じる話たち。

けん玉。

ルイーズ・ブルジョワ《わたしの青空》1989-2003年

ルイーズ・ブルジョワ《ヒステリーのアーチ》1993年

ブルジョワは美しい青年が反り返っている彫刻をつくることによって、ヒステリーを起こすのは女性のみであるという固定観念を覆そうとしました。

第2章 地獄から帰ってきたところ

第2章では、作品を通じて、不安や罪悪感、嫉妬、自殺衝動、殺意と敵意、拒絶への恐怖など、彼女の内面の葛藤が表現されています。

ブルジョワは彫刻を一種の「エクソシズム(悪魔払い)」として捉え、望ましくない感情を解放する手段と考えました。

父親への否定的な感情が多くの作品に影響を与えており、《父の破壊》はその象徴的な作品です。

ルイーズ・ブルジョワ《罪人2番》1998年

防火扉で囲まれた空間の中には…

小さな椅子と、自省を促す鏡。

「椅子はまるで叱責される子どものようで、罪の意識が伝わってきます」。

矢が数本刺さっています。

ルイーズ・ブルジョワ《拒絶》2001年

ルイーズ・ブルジョワ《どうしてそんなに遠くまで逃げたの》1999年

ブルジョワの作品は、タイトルまでいいんだよなあ。

ルイーズ・ブルジョワ《部屋X(肖像画)》2002年

ブルジョワにとって、赤は感情の激しさ、血、痛み、暴力、恥などを伝える色なんだそう。

この作品、ホログラムなので見る角度によって絵が変わります。なんと前澤友作コレクション。

これが

こう。

ルイーズ・ブルジョワ《父の破壊》1974年

ブルジョワが父親に抱いていた愛憎を作品に落とし込んだ作品。自分勝手で、愛人を家に住まわせ、規律は破り、女家族の人権はなし、ブルジョワが生まれた時男の子ではなくてがっかりした父親。

ルイーズ・ブルジョワ《カップルIV》1997年

ルイーズ・ブルジョワ《シュレッダー》1983年

ルイーズ・ブルジョワ《メルシー・マーシー(感謝・慈悲)》1999年

ルイーズ・ブルジョワ《自殺の脅し》1987年

ルイーズ・ブルジョワ《無題(地獄から帰ってきたところ)》1996年

ブルジョワが亡き夫が使っていたハンカチに刺繍した作品。

「I have been to hell and back. And let me tell you it was wonderful.(地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ)」この言葉が今回の展覧会のタイトルに使用されています。

第3章 青空の修復

ルイーズ・ブルジョワ《青空の修復》1999年

ブルジョワは自分を「サバイバー」と考え、芸術が心の平穏を取り戻す手助けとなると信じていました。

最終章「青空の修復」では、ブルジョワが芸術を通して意識と無意識、母性と父性、過去と現在のバランスを整え、心の回復と再生を目指したことに焦点を当てています。

ブルジョワは、自身や家族の衣服など、彼女の人生に関わる布を使うことで過去を永遠にしようとしました。

布を縫い合わせ、繋ぎ合わせる行為は、別れや見捨てられることへの恐れを克服する象徴であり、母親との関係を反映しています。

タペストリー修復工房を営んでいた母親と自分を無意識のうちに重ね合わせていたことが作品に表れています。

ルイーズ・ブルジョワ《ウジェニー・グランデ》2009年

小説『ウジェニー・グランデ』の主人公の名前がタイトル名です。ブルジョワはウジェニーと同じように父親に復讐したいと考えていました。

時の経過と幼少期の人間関係に対する感情の変化を作品にしています。

ルイーズ・ブルジョワ《蜘蛛》1997年

ブルジョワ愛用のゲランの香水「シャマリー」の瓶。

止まった時計。

彼女の実家はタペストリーの工房を営んでいました。

ルイーズ・ブルジョワ《雲と洞窟》1982-1989年

ルイーズ・ブルジョワ《トピアリーIV》1999年

トラウマを昇華させ作品を作り続けたブルジョワ自身を表しているような作品。

ミュージアムショップ

図録、ポストカード、マグネット、紅茶ボックス、ミルクアーモンド缶、Tシャツなどがありました。

今回はマグネットをひとつだけ購入しました。こういう厚みがあるマグネット大好き。富豪だったらこのマグネット全種類買ったのに。


ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ Louise Bourgeois: I have been to hell and back. And let me tell you, it was wonderful.

↑図録はネットでも買えます!

カフェ&レストラン

52階に、Cafe THE SUNと、Restaurant THE MOONがあります。

ルイーズ・ブルジョワ展 概要

会期:2024年9月25日〜2025年1月19日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00〜22:00(火〜17:00、ただし12月24日、12月31日は〜22:00)
休館日:会期中無休