こんにちは!
今回は、ギリシャ神話に登場する英雄ヘラクレスを解説します。
早速見ていきましょう!
ヘラクレス(ヘルクレス、ハーキュリーズ)
アントニオ・デル・ポッライオーロ《ヘラクレスとヒュドラ》1475年頃
ギリシャ名:ヘラクレス、ローマ名:ヘルクレス、英語名:ハーキュリーズ
アトリビュート:棍棒、ライオンの皮
古代に最も崇められた英雄です。
知名度も冒険の数もダントツでトップの英雄です。
英雄らしからぬ面も持ち、粗暴でいながらどこか憎めず、頭の回転も早い人物でした。
夫に変身
父ゼウスは、人間たちに彼らを守るための半神を贈ろうと考え、母としてアルクメネを選びました。
アルクメネは、父と母方の祖父が兄弟でペルセウスの息子であったことから、二重の意味でペルセウスの末裔だったからです。
すでに結婚していましたが、ゼウスは夫のアンピトリオンに姿を変え、太陽に3日の間昇らぬようにと言いつけ、そっと彼女の寝床にもぐりこみました。
ヘラの嫉妬
ベルナルディーノ・メイに帰属《毒蛇を絞め殺す幼子ヘラクレス》1676年
アルクメネの臨月が近づくにつれ、ゼウスはそわそわと待ち遠しい様子となり、生まれるペルセウスの子孫が、ミュケナイ王になると宣言しました。
嫉妬にかられたヘラは、アルクメネの出産を遅らせ、ペルセウスの別の末裔エウリュステウスを先に誕生させて王位に就けました。
それでも怒りの収まらないヘラは、ヘラクレスの命を奪おうと、2匹の蛇を送り出しますが、赤子ながらすでに怪力の持ち主であったヘラクレスにひねり殺されました。
サイコパス…
屈強な上に暴力的な若き日のヘラクレスについては、数々の武勇伝が残っています。
例えば、竪琴で殴ってきた音楽教師を椅子で殴り返したり、友人でありテーバイ王のクレオンから年貢を取り立てていたボイオティア王エルギノスの使者たちの鼻や耳を削いで首輪を作ったり……。
喜んだクレオンは、娘のメガラをヘラクレスに嫁がせ、ヘラクレスはエルギノスからかつて取り立てられていた年貢の2倍の額を取り立てました。
狂気で妻子を殺害
ヘラクレスはメガラに夢中になり、多くの可愛らしい子供を授かって、ようやく落ち着きました。
しかし、ヘラの怒りは収まらず、執拗にヘラクレスを追い続け、ついには彼を狂乱におとしいれました。
そのためヘラクレスは子供たちを怪物だと思い込み、かばおうとするメガラ共々殺してしまいました。
ゼウスの息子の名にも値しない人殺しとなり果て、打ちのめされ、自分に代わって王位に就いた従兄弟従の王エウリュステウスに会いに行き、罪を清めてもらおうと考えました。
ところが、ヘラクレスを恨むエウリュステウスは、10の不可能な試練を与え、「完璧に遂行せよ」と命じました。
12の試練
ピーテル・パウル・ルーベンス《メネアのライオンと戦うヘラクレス》1615年頃
10の試練のはずが、いつのまにか12の試練に…。
詳細は長くなるのでこちら↓
悲惨な最期
フランシスコ・デ・スルバラン《ヘラクレスの死》1634年
様々な試練を克服したヘラクレスですが、その死はあまりにも無残でした。
3番目の妻デイアネイラと共に危険な川を渡ろうとしていると、ケンタウロス族のネッソスが来て、「デイアネイラを背負ってあげましょう」と申し出ました。
しかし卑劣なネッソスは、ヘラクレスが泳ぎ出す瞬間を見計らい、デイアネイラを襲い自分のものにしようと狙っていました。
ヘラクレスは、ヒュドラの毒のついた矢でネッソスを殺しますが、ネッソスは死ぬ間際に血まみれの衣をデイアネイラに渡し、「これがあればヘラクレスは浮気をしないだろう」と伝えました。
のちにデイアネイラが、ヘラクレスにこの衣を着せると、衣は彼の肉を引き裂き、ヘラクレスは脱ぐことができないまま、あまりの苦しみのために火葬台に身を投げて命を断ち、デイアネイラも絶望のあまり首を吊って絶命しました。
今でも「ネッソスの上着」という言葉は、毒を含んだ贈り物を意味します。
5番目に大きな星座
5番目に大きな星座にもヘラクレスの名がついています(ヘルクレス座)。
1935年には、国際天文学連合により、地球の衛星である月のクレーターの1つがヘラクレスと命名されました。
その西のクレーターには、ヘラクレスの因縁の?相手アトラスの名がつけられました。