こんにちは!
今回は、ギリシャ神話に登場する知恵や戦略の女神アテナを解説します。
早速見ていきましょう!
アテナ(ミネルヴァ、ミナーヴァ)
グスタフ・クリムト《パラス ・アテナ》1898年
ギリシャ名:アテナ、ローマ名:ミネルヴァ、英語名:ミナーヴァ
アトリビュート:兜と槍、メドゥサの頭、フクロウ、オリーブ
アテナイ市民から愛される女神アテナは、知恵、戦略、戦争、平安、芸術、職人、理性、文芸、思想を司る女神です。
ヘラクレスやペルセウスなど英雄たちの守護神でもありました。
上の絵では、手に勝利の女神ニケ像を持っています。
完全武装で爆誕
ある日、ゼウスは、妊娠中の妻メティスが男の子を生み、その子がいつか自分に取って代わるだろうという予言を耳にしました。
注意深いゼウスは、危険を回避しようと極端な行動に出ます。
なんとメティスをハエに変えて飲み込んでしました。
それから数か月後、ひどい頭痛に襲われ、鍛冶の神ヘパイストスに頼んで、斧で額を割ってもらうと、中から槍を持ち、兜をかぶった完全武装のアテナが飛び出てきました。
ゼウスはアテナを忌み嫌ったかと思いきや、可愛がりました。
オリーブをプレゼントして勝つ
サンドロ・ボッティチェリ《パラスとケンタウロス》1480-1485年
アテナイ市民は、自分たちに最上の贈り物をしてくれた神を、町の守護神にすることにしました。
自信満々のポセイドンは馬を贈り、市民たちはこれに大喜びしました。
一方、アテナは、地面をひと突きし、オリーブの木を生えさせました。
男たちはがっかりしましたが、賢い女たちはオリーブの木が油を与えてくれると理解し、アテナを守護神に選んだといいます。
上の絵ではアテナのことを「パラス」と表記していますが、(これには諸説ありますがどちらにせよ)アテナが殺した人物の名を自分の名の前につけて「パラス・アテナ」と名乗るようになったことからきています。
さらに言うと、上の絵は、アテナではなくウェルギリウスの叙事詩『アエネイス』の女狩人カミラ説もあります。
フクロウ
アテナの聖なる動物はフクロウです。
夜も昼も全てお見通しのフクロウは、「英知」の象徴です。
『ハリー・ポッター』を思い出してもわかるように伝言役でもあり、数々の英雄に助言を与えて窮地から救いました。
古代アテナイの硬貨にも刻まれ、ギリシャ語てフクロウを意味する「グラウクス」は、テトラドラクマ硬貨を指す言葉として使われるようになりました。
現在でも、ギリシャで使われている1ユーロ硬貨の絵柄はフクロウです。
ヨーロッパでは、フクロウと言えばアテナのイメージが強く、小ぶりなフクロウは「アテナのコキンメフクロウ」と呼ばれています。
超高価な像
ハーバード・M・ヘルゲット《アテナ像の制作について相談するペリクレスとペイディアス》
パルテノン神殿の建築時、ペイディアスは素晴らしいアテナ像を制作し、聖所に設置しました。
金と象牙で作られたこの像は大変高価だったそうで、材料となる金の購入だけで兵士1万人の1年間の給金に匹敵し、アテナイの市民たちは他都市との同盟資金を転用しました。
それがペロポネソス戦争の遠因となりました。
メドゥサの頭
ペイディアスの金と象牙の彫像の盾には、蛇が生えたメドゥサの頭部が描かれています。
ペルセウスは、アテナの助けをゴルゴンのメドゥサを倒し、その頭をアテナにお礼として贈りました。
アテナは、鎧にこれを飾って首の周りに着けたり、盾の上に飾ったりしました。
パルテノン神殿だけど…
パルテノン神殿はアテナに捧げられた神殿で、「パルテノス」は「処女」を意味しています。
アテナはヘパイストスに乱暴されそうになり、必死に抵抗しました。
ヘパイストスは思いを遂げられませんでしたが、アテナの太ももに精子がかかり、羊毛でふき取って地面に落としたところ、半人半蛇のエリクトニオス(エリオンは「羊毛」、クトンは「地」の意味)が誕生しました。
アテナはエリクトニオスをひそかに育て、彼は後にアテナイ王となりました。