こんにちは!
今回は、岩波書店のシンボルマークとしても有名な、ミレーの《種をまく人》です。
早速見ていきましょう!
ミレーの種をまく人
ジャン=フランソワ・ミレー《種をまく人》1850年 山梨県立美術館
ジャン=フランソワ・ミレー《種をまく人》1850年 ボストン美術館
どんな絵?
ミレーが、父親の働く姿を思い出して描いた作品です。
聖書の「種をまくひとのたとえ」
ミレーはカトリックの家で育ったこともあり、この絵も、新約聖書の「種をまく人のたとえ」と関係があるのでは?と考えられています。
どういうことかというと、「種をまく人」=イエス、「種」=イエスの教え、そしてそのイエスの教えをしっかりと吸収できる土地(つまり人)にのみ、実を結ぶよ、という教えです。
サロン出品作品
1850〜1851年のサロンに出品した作品でした。
ただ、サロンに出品したのが、山梨県立美術館のものか、ボストン美術館のものなのかは、よくわかっていません。
政治的メッセージ?
当時のフランスは、政治的発言力を増した農民や労働者階級と、その脅威を抑え込もうとするブルジョワ階級との対立が高まっていました。
そんなとき、サロンに《種をまく人》を出品し、農民の悲惨な生活を訴える政治的メッセージのある絵だと受け取られ、激しい論争の的となります。
はっきりと顔を描かない
《晩鐘》などミレーの他の作品でも、人物の表情ははっきりと描かれていません。
そうすることによって、人種や国籍に関係なく、見た人が感情移入できるようになっています。
上半身を大きく
2003年のX線調査で、下絵よりも上半身を大きく描いていることがわかっています。
大きく描くことによって、力強さを表しています。
地平線の位置
他のバルビゾン派の画家に比べて、ミレーの絵は地平線の位置が高く描かれています。
これは、ミレーは他のバルビゾン派の画家のように、森や風景をメインに描くというよりも、そこで働く人物に焦点を当てて制作しているためです。
ゴッホの種をまく人
ゴッホは、ミレーの作品をいろいろと模写していますが、今回は《種をまく人》に絞って紹介します。
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人、背景にアルル郊外》1888年
フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ《種まく人》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人(ミレーを模して)》1889年
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人(ミレーを模して)》1890年