クリムトが描いたストックレー邸の豪華すぎる壁画を超解説!

こんにちは!

今回は、クリムトが描いた、お金持ちの邸宅の壁画の下絵を紹介します。

早速見ていきましょう!

ストックレー邸内部装飾の下絵

《ストックレー邸内部装飾の下絵》1908-1911年

世界遺産 ストックレー邸

ストックレー邸は、ベルギー、ブリュッセルに残る邸宅で、2009年に世界遺産に登録されています。

ベルギーの金融業者アドルフ・ストックレーの私邸で、オーストリアの建築家ヨーゼフ・ホフマンによって考案されました。

内装は、クリムトフェルナン・クノップが手掛けています。

クリムトたちは、ホフマンのウィーン工房の中で、シャンデリアから銀食器に至るまで、内部を飾る多くの要素や家具を制作しました。

残念なことに、内部は、現在一般向けには公開されていません。

予算の上限なし

ストックレーは、ホフマンに「全部任せる!予算の上限もなし!」で仕事を依頼したそう。

作る側としては、まるで夢のようで、これ以上ない話ですよね。

食堂にある

このクリムトの下絵を元に、ウィーン工房と、フォルシュトナーが設立したウィーンモザイク工房が、大理石ガラス貴石などでモザイク画を制作しました。

 

クリムトは下絵に直接指示を書き込み、制作陣に伝えました。

何かというと、エナメル、真珠層、金箔といった最高品質の素材のみを使用するように、といった内容でした。

この壁画は、ストックレー邸の食堂を飾っています。

下絵の解説

《騎士》1910-1911年

真四角な形状の上にアカンサス文様が描かれ、さらにその上に騎士が鎮座しています。

その姿は《期待》と《成就》の両作品を間で見守る守護神のようです。

クリムトにしては珍しく、極度に抽象化された騎士が描かれています。

長い間、人物が象徴的に描かれていることを示す資料が発見されていなかったため、この作品は「抽象的構図」の絵、つまり特に意味のない模様が描かれている絵だとしか思われていませんでした。

最近になって見つかったクリムトが書いた1枚のハガキに、《騎士》についてエミーリエに説明する言葉が書かれていたために、この絵の正体が判明したんだとか。

ちなみに、ストックレーが、この《騎士》のすぐ前の席に着いていたと言われています。

 

《期待》1910-1911年

クリムトは当時のモダンダンスの先駆者たちに強い影響を受けていました。

 

ダンサーが顔だけ横を向き、体は正面を向いていることから、古代エジプトの人物画を意識していることがわかります。

ダンサーの手のポーズによって強調されている豪華な髪飾りは、彼女がしている腕輪と同様に、ウィーン工房のデザインを連想させます。

 

 

 

鷹の姿をしたホルス神ホルスの目、極端に様式化された花と葉が、枝を飾っています。

 

こんな感じで下絵を元に制作していきました。

これらは、ストックレー家が所有していた古代エジプトやビサンティン時代の芸術品にヒントを得たものだと考えられています。

《生命の樹》1910-1911年

壁全体のモチーフとなっているのが「生命の樹」です。

その枝は、壁全体に広がっています。

 

ビサンティン美術に着想を得て、極端に様式化された生命の樹が、渦を巻きながら遠くまで伸びていき、その枝は象徴的模様で飾られています。

 

 

《成就(抱擁)》1910-1911年

ダンサーが描かれている《期待》の絵と構図上対を成すのが、恋人同士を描いた《成就》です。

日本の着物のような赤地の服を着て、こちらに背を向けて立っている男性と、花柄のグリーンのドレスを着た女性が、ぎゅ〜っと抱きしめ合っています。

この恋人たちは、クリムトとエミーリエだという説もあります。