こんにちは!
今回は、コリアの《デルフォイの巫女》についてです。
早速見ていきましょう!
デルフォイの巫女
ジョン・コリア《デルフォイの巫女》1891年
巫女の役割
デルフォイというのは地名で、太陽神アポロンの聖域です。
そこにいる巫女は、一種のトランス状態になって神々の託宣を口寄せ(神の言葉を預かる)して伝える役を担っていました。
彼女は岩の裂け目に置いた高い三脚鼎(かなえ)を椅子代わりにし、裂け目から漏れ出る蒸気を吸って、月桂樹の葉を噛みながら神託を下しました。
ピューティア
巫女の容姿は19世紀的美女で、赤いヴェールをこのようにまとっていたかどうかは不明ですが、それ以外は歴史的事実に基づく正確な描写です。
というのも、画家は、古代ギリシャの赤像式酒杯に描かれた巫女の神託シーンを参考にしたようです。
彼女の表情からトランス状態であることがわかります。
彼女はアポロンの巫女、ピューティアです。
アポロンが蛇の怪物ピュトンを倒したことから「ピューティアン(腐敗させる者)」、その巫女は「ピューティア」と呼ばれるようになりました。
危険な場所
動物の足を模した三脚鼎が、岩の裂け目を跨ぐ形で配置され、そこに座ることの危うい感じをよく示しています。
地底からは盛んに白い蒸気が立ちのぼっています。
月桂樹
巫女は左手に月桂樹を握っており、足もとにも一部が落ちています。
月桂樹はアポロンに捧げられた聖木で、葉には薬効があり、予言の力を得られると言われていました。
右手に持つ小さな皿は、おそらく噛み終えた葉を入れるためのものでしょう。
トランス状態
この巫女は前かがみになり、次第にトランス状態が昂じて身体を揺すりはじめ、今にも口を開いて怖ろしい言葉を吐きそうな迫力があります。
彼女の興奮状態は聴く側に感染したに違いありません。
神託の場は異様な雰囲気に包まれ、何を言われても信じずにはいられなかったはず…。