こんにちは!
今回は、マグリットの石の時代の作品を紹介します。
早速見ていきましょう!
石の時代
ルネ・マグリット《笑顔》1943年
マグリットは、1950年以降、石化したモチーフの絵を頻繁に描くようになりました。約50点ほどあります。
石化するということはイコール現実とは反対の性質を持つということです。
石化した世界というのはポンペイのような大惨事を思い起こさせます。マグリットは石化を災害や死の視覚的表現と見なしていました。
巨大な遺跡のような石の構築物が立ち、その手前には何かを語り合う二人の山高帽の男たちが小さく描かれています。構図や色彩は、ダリの《内乱の予感》(1936年)を思わせます。
石の構築物の下部には「RÊVE(夢)」という言葉が含まれています。
ミシェル・ピュトールはこの作品を、ボードレールの「悪の華」の一篇「美」の冒頭、「おお死すべき者どもよ!私は美しい。石の夢のように」と関連付けました。
4つの絵の中で一番大きなサイズの絵です。
《集合的発明》に登場する、上半身が魚で下半身が人間の「人魚」たちが、海辺の岩に腰かけています。
青空の下の水平線上を、海面を宿した帆船のシルエットが静かに通り過ぎていく様子は、1951年の《誘惑者》に由来しています。
人魚たちのいる前景は、彼らと一緒に全てが石と化しています。夢見るように寄り添う恋人たちは、永遠の時を過ごすのでしょうか。彼らの姿は滑稽でありながらも物悲しくおごそかです。
この作品は、ブリュッセルの画廊「ラ・シレーヌ(人魚)」で1953年10月に開催された人魚のテーマ展のために制作されたとされています。
この作品では、外套を着てシルクハットを持った男性が室内に立っており、彼のそばにはライオンが寝そべっています。背後のテーブルには燭台と果物が置かれ、壁には塔の廃墟の絵が掛けられています。
すべてが石と化しており、石の蝋燭から光が放たれています。モノクロームの静かな世界が詩的な雰囲気を醸し出しています。
男性のモデルは友人で詩人のマルセル・ルコントですが、顔はマン・レイが描いた上の絵と類似性が指摘されています。ルコントは仲間内では有名なマゾヒストとされています。
1950~51年には、同名の作品が複数制作され、いずれも石化したモチーフが描かれています。また、作品に登場するライオンは1941年の《ホームシック》にもほぼ同じ姿で描かれています。
石碑にはフランス語で「ROSEAU(葦 あし)」と刻まれています。
哲学者パスカルの有名な言葉「人間は考える葦である」を想像させます。
またバラ(Rose)色の空や鳥(Oiseau)掛け合わせた言葉のようにも思えてきます。
「ANNO 192370」というのは「192370年」という意味で、この碑文があることで、未来の無限の広がりを感じることができます。