こんにちは!
今回は、《宰相ロランの聖母》と隠された「七つの大罪」について解説します!
早速見ていきましょう!
《宰相ロランの聖母》
ヤン・ファン・エイク《宰相ロランの聖母》1435年頃
フィリップ3世の宰相であったロランに、聖母マリアがキリストを見せている場面が描かれています。
画家ヤン・ファン・エイクもフィリップ3世の宮廷画家でした。
この絵の特異性
ロランのサイズが、聖母子と同じサイズで描かれているんです!
これの何がすごいのかというと…
宗教画では「重要な人物を大きく描く」という暗黙のルールがあります。
誰が重要人物なのか、説明しなくてもわかるようにするためです。
なので聖母子や聖人が大きく描かれ、寄進者などその他の人物は小さく描かれます。
ですが、この絵では、同じサイズで描かれています。
現実の権力者ロランと、天界の権力者キリスト、2人は対等だよ!ロランはキリストと同等の存在ですよ、というアピールです。
七つの大罪
「七つの大罪」とは、「七つの死に至る罪」という意味です。
こんな欲望や感情を持っていると、罪の元!罪を犯す前に、気付きましょう!という注意喚起です。
右から2番目、ライオンの頭は憤怒、
一つ飛ばして、左から「アダムとイブの楽園追放」は高慢を、「カインのアベル殺害」は嫉妬を、「ノアの泥酔」は暴食を表しています。
こんなところに!!
押しつぶされたウサギが!!!(笑)
ウサギは色欲を表しています。
あとの二つは、背景の男2人(内1人は画家の自画像では?と言われている)が怠惰を、
下絵の段階では描かれていたロランの財布(腰に巻かれた帯のところに大きな財布が描かれていたが消された)が強欲を表していたと考えられています。
「七つの大罪」とは関係ありませんが、外には百合やバラ、あやめに牡丹も描かれています。
このお花たちは、マリアの純潔を表しています。
全てロラン側にある
「七つの大罪」を表すモチーフは、全て画面左半分、ロラン側にしかありません。
聖母子側には無いんです。神なので。
豪華
この絵豪華なんですよね〜この絵の依頼者ロランの趣味でしょうね。
王冠
天使が聖母マリアの頭に王冠を載せようとしています。
これは「聖母戴冠」といって、このシーンを描いた作品も数多く存在する、人気のシーンです。
これを描くことで、絵としての有り難みも増すし、豪華になるし、ヤン・ファン・エイクとしては、質感を描き分け(布や金属、石など)られるんだぞ!絵上手いだろアピールにもなります。
十字架
キリストが持っている豪華な十字架には、水晶玉が付いています。世界を見通す的な意味です。
にしても、豪華な十字架…
ロランの服
毛皮に金のブロケード(豪華な織物)でばっちりキメたロラン。
いかにもな感じです。
自分はすごい人間なんだぞ!っていうのを見せつけています。
その前に髪型をどうにかしてほしい。流行りかな?(笑)
まとめ
・《宰相ロランの聖母》は聖母子と依頼者が同じサイズで描かれている珍しい絵 ・「七つの大罪」を表すモチーフが隠れている